研究概要 |
本年度はまず研究計画にそって,miRNeasy RNA isolation kit (Qiagen, Valencia, CA)を用いた方法により血清中のmicroRNAを定量できる事を確認した(Kawashita Y, J Dermatol Sci. 2011)。さらに血清中での発現が確認されたmicroRNAについて多数の患者群で血清microRNA濃度を測定し、正常対照群や他疾患との比較を行った。また、患者群において臨床症状との相関を行う事により以下のことを報告することが出来た。1, 全身性強皮症患者における血清miR-29a濃度は正常人と比べて変化なかったものの,前駆病態である強皮症関連病態においてはmiR-29a濃度の有意な減少を認め,病初期の病態形成に関与している可能性が示唆された。また、強皮症における血清miR-29a減少例では心エコーによる推定肺動脈圧の増加傾向が見られた(Kawashita Y, J Dermatol Sci. 2011)。2, 強皮症患者における血清miR-196a濃度は正常人と比べて変化していないものの,miR-196a減少例では皮膚硬化の重症例が多かった(Honda N, et al. J Immunol. 2012)。3, 尋常性乾癬患者では血清miR-1266濃度が増加し,皮疹の重症度と逆相関する傾向が見られた(Ichihara A, et al. Eur J Dermatol. 2012)。4, 悪性黒色腫患者では血清miR-221濃度が有意に増加しており,腫瘍の進展度とも相関していた。(Kanemaru H, J Dermatol Sci. 2011)
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