研究概要 |
H24年度は血清microRNAの臨床的意義をさらに確認するため、研究計画に基づき全身性強皮症患者でのmicroRNAの研究を進め、またマウスモデルでの実験を追加した。加えて有棘細胞癌と限局性強皮症・皮膚筋炎患者でも血清microRNA濃度を測定した。 強皮症においてmiR-150の血清濃度は正常人と比べて有意に減少しており、診断マーカーとして有用であると考えられた。また指尖虫喰状瘢痕などとの相関を認め、病勢のマーカーとしても有用である事を見いだした(Honda N, et al. Am J Pathol 2012)。さらにmicroRNAの治療応用の可能性を検討するため、強皮症のモデルマウスとしてブレオマイシンを局注して皮膚の線維化を誘導したマウスの腹腔内にlet-7aを注射したところ、ブレオマイシンによる線維化を抑制することができた (Makino K, J Immunol 2013)。 皮膚筋炎患者では血清miR-21濃度が正常人に比べて有意に増加し、患者の血清IgG濃度と相関を示した(Shimada S, et al. Clin Exp Rheumatol 2012)。一方,miR-7は正常人あるいは他の膠原病患者に比べて皮膚筋炎患者血清で減少していた(Oshikawa et al. Acta Derm Venereol 2012)。 限局性強皮症患者では血清miR-7濃度が有意に減少し診断に有用であると考えられた (Etoh M, Arch Dermatol Res. 2013)。 有棘細胞癌患者の血清中miR-124濃度は皮膚でのmiR-124量発現を反映し、腫瘍の進展と逆相関を示した (Yamane K, J Mol Med 2013)。
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