研究課題
マウスiPS細胞から樹状細胞を誘導する方法の効率化についての実験をおこなった。また、樹状細胞だけでなく、腫瘍を直接攻撃するエフェクター細胞としてのマクロファージをiPS細胞あるいはES細胞から誘導する実験も行った。一方、腫瘍抗原探索については、KIF20Aが悪性黒色腫において高発現し、その発現がtumor thicknessと相関すること、またKIF20Aを発現する悪性黒色腫患者のほうが、無再発生存期間が短いことなどを見出した。(論文投稿中)一方、悪性黒色腫における新規血清マーカーの探索として、EGFRやgas6に注目し、その濃度を測定した。その値と臨床症状について解析し、有用なマーカーになりうることを見出した。(論文投稿中)また、血清中のmicroRNA-221が悪性黒色腫患者にといて上昇していることを、前年度までに報告したが、さらに解析をすすめたところ、microRNA-222, 182, 137についても、上昇していることを見出した。しかし、それぞれのmicroRNAごとに、臨床プロファイルとの相関は異なり、それぞれのステージごとでの癌の進展に寄与する役割が違うことが示唆された。(論文作成中)
3: やや遅れている
マウスiPS細胞の樹状細胞への分化誘導が当初考えていたよりも困難で、試行錯誤をおこなっている。また発現ベクターを用いた遺伝子導入およびそのクローニングも計画より遅れている。
今後は、マウスiPS細胞にこだわらず、まずは多能性幹細胞のモデルとしてマウスES細胞を用いた研究にシフトしていくことも検討している。またさらに実際的な研究とするために、ヒトのiPS細胞を用いる実験系も計画している。
マウスおよびヒトのiPS細胞に抗腫瘍効果をもたせた樹状細胞およびマクロファージを作成するとともに、その抗腫瘍効果を確認するための、in vivoモデルの構築を行なう。これまでは、マウスの悪性黒色腫をマウスに接種するモデルで実験を行ってきたが、より実際的なモデルとするために、ヌードマウスあるいは、SCIDマウスに、ヒト由来の悪性黒色腫を皮下接種あるいは、腹膜播種させるモデルの構築を目指す。その際、ヒト由来悪性黒色腫には当初の計画通り、ルシフェラーゼをレポーターとして遺伝子導入するが、最近、熊本大学動物実験施設に、in vivoで、マウスを生かしたままルシフェラーゼを計測できるNightOWLが導入されので、より詳細で実際の臨床に近い計測ができるようになると考えている。一方、新規腫瘍抗原、新規マーカーの探索も引き続き平行して行なう。
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