マウスiPS細胞あるいはES細胞から樹状細胞(DC)を誘導する方法の効率化についての実験をおこなった。抗腫瘍効果を高めるために、IL-15を過剰産生するES細胞をクローニングしDCを分化誘導した。一方で、DCだけでなく、腫瘍を直接攻撃するエフェクター細胞としてのマクロファージをiPS細胞から誘導する実験も行った。ヒトのiPS細胞から誘導したマクロファージ単体ではヒトMMを接種した免疫不全(SCID)マウスを用いたモデルにて、抗腫瘍効果は認められなかった。しかし、これにサイトカイン遺伝子を導入した細胞は著明な抗腫瘍効果を有することを見出した。今後、種々の条件比較、作用メカニズムを解明した上で論文発表する予定である。一方、腫瘍抗原探索については、KIF20AがMMにおいて高発現し、その発現がtumor thicknessと相関すること、またKIF20Aを発現するMM患者のほうが、無再発生存期間が短いことなどを見出し発表した。(Acta Derm Venereol. 2012)さらに、MMにおける新規血清マーカーの探索として、血清EGFRが早期MM患者で上昇し、進行期になるに従って低下することを見出し報告した。(Clin Exp Dermatol. 2013)さらに、最近様々な癌において高発現し、そのSNPがその癌の発症に関与していることが報告されているmicroRNA-146aについて、MMにおけるSNP(rs2910164) を解析した。MM患者のジェノタイピングの結果、CC(30.0%)、CG (70.0%)、GG (0.0%)であり、正常人に比べ、有意にCGジェノタイプの割合が高いことを見出した。今後、MMを生じるリスクの高い集団を予見できる技術へと発展する可能性がある。(Melanoma Res. 2013)
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