研究課題/領域番号 |
23791283
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 亜紀子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10468093)
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キーワード | 悪性黒色腫 |
研究概要 |
H23年度で、WM266細胞においてCD271陽性細胞の腫瘍形成能が高いことが示唆されたため、別の細胞株においても同様の腫瘍形成能を示すかどうかの実験を行った。mm96LとA2058メラノーマ細胞株を用いて、FACSをもちいて、CD271陽性細胞と陰性細胞を分離し、NOD-SCIDマウスに移植を行い、腫瘍の増殖を観察した。mm96L細胞、A2058細胞いずれにおいてもCD271陽性細胞とCD271陰性細胞で腫瘍は形成がみられ、形成した腫瘍のサイズに差はみられなかった。これらのことから、CD271陽性細胞は、WM266細胞においては、幹細胞様性質をもつ細胞集団であるが、mm96L細胞やA2058細胞においては、腫瘍形成能に差がみられず、幹細胞マーカーとしてのCD271は細胞株によって有用性に差があると考えられた。また、メラノーマ細胞株のNOD-SCIDマウスへの移植実験は、細胞株によっては、細胞数10個の移植でもCD271陽性、陰性に関係なくすべてのマウスで腫瘍が形成されるため、腫瘍形成能の評価方法として使用するのは難しいのではないかと考えられた。次に、幹細胞は細胞周期において静止期にあることが多く、また分裂の際も非対称性分裂をする性質を利用して、label retaining cellが幹細胞様性質をもつかどうかを検討した。WM266メラノーマ細胞株をPKH色素で細胞膜を染色して培養後、FACSを用いて、PKH色素が残るPKH high細胞と、PKH low細胞を分離し、sphere形成能を比較したところ、PKH high細胞でPKH low細胞よりも高いsphere形成能がみられた。これらのことから、WM266細胞においてPKH highなlabel retaining cellが幹細胞様性質をもつ可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H23年度に産休、育休を取得したことと、メラノーマにおいて幹細胞様性質を示す細胞の同定に時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
label retaining cellがメラノーマ細胞株において幹細胞様性質を示すかどうかを、複数の細胞で検討する。幹細胞様性質がしめされた場合は、gene expression arrayを行って、label retaining cellに特有な遺伝子の発現を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
PKH色素や培養液、gene expression arrayの購入に使用する予定。
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