インターロイキン33(IL-33)はIL-18と同じIL-1ファミリーのサイトカインで、IL-18と同様にアトピーなどのアレルギーへの関与が指摘されている。近年、IL-33の標的細胞として新たな白血球が発見され、nuocyte、2型自然リンパ球(ILC2)、ナチュラルヘルパー細胞などの名称で呼ばれているが、皮膚炎におけるnuocyteの関与については未だ明らかではない。そこでまず、組織中ならびに末梢血中に極くわずか(0.1-0.01%程度)しか存在しないnuocyteを、多色染色が可能な最新式フローサイトメーターを用いることで検出する実験系をマウスとヒトで確立することを試みた。またIL-33の皮膚炎への関与を検討した。 1.ヒトの末梢血におけるnuocyteの分離を行い、その機能を解析中であったが、研究期間中に他の研究者から先に発表があった(Mjosberg et al. Nat Immunol. doi:10.1038/ni.2104.)。 2.マウスの皮膚をコラゼナーゼ処理にてリンパ球分画を取り出し、マウス皮膚局所のnuocyteを分離することに成功し、nuocyteの機能解析を行っていたが、他の研究者から先に発表があった (Roediger et al. Nat Immunol. doi:10.1038/ni.2584) 。なお、引き続いて、アトピー性皮膚炎モデルマウスにnuocyteが関与する内容について、現在論文投稿中である。 3.疾患との関連の検討として、アトピー性皮膚炎や膿疱性乾癬など種々の炎症性皮膚疾患における血清中のIL-33濃度を測定した。これらの研究実績は論文に掲載することができた(Yamamoto et al. Dis Markers. doi: 10.3233/DMA-120958.)。
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