研究課題
小胞体や形質膜、ゴルジ装置に存在する3種のカルシウムポンプは協調しながら細胞内Ca2+濃度を調節している。研究代表者は、カルシウムポンプの異常で生じる遺伝性角化症であるHailey-Hailey病(HHD)とDarier病(DD)の症例を数多く収集し遺伝子変異を検出してきた。本研究は3種のカルシウムポンプが表皮細胞内Ca2+濃度の恒常性維持にそれぞれどの程度寄与しているのかを明らかにし、角化との関連性を調べることを目的とした。(本研究の具体的な内容)1)HHDとDDの培養表皮細胞における3種のカルシウムポンプ(SERCA、PMCA、SPCA)の発現を調べ、細胞内Ca2+濃度を測定する。2)HHDとDDの培養表皮細胞で様々なパターンで3種カルシウムポンプをノックダウンし、細胞内Ca2+濃度を測定する。3)培養細胞から三次元培養皮膚を作製し、角化関連分子の発現を調べる。(これまでの研究経過と結果)1)本研究の基盤となるHHDを30家系収集し、29種のATP2C21遺伝子(SPCA1)変異を新たに同定した。2)HHD培養表皮細胞における3種のカルシウムポンプの発現は様々なパターンを呈したが、重症例では全ての発現低下を認めた。またATP添加にて細胞内Ca2+濃度の上昇はみられなかった。HHD培養表皮細胞では、カルシウム結合タンパク質や角化関連タンパク質の発現が上昇し、病態との関連性が示唆された。3)HHDのモデル細胞として、HaCaT細胞のATP2C21遺伝子ノックダウンを用いた実験を行った。これらの細胞では、カルシウム結合タンパク質や角化関連タンパク質の発現変動が認められた。4)正常培養表皮細胞を用いて三次元培養皮膚を作製した。同様の手法を用いて、HHDとDDの三次元培養皮膚を作製中である。
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