〈方法〉はじめに細胞をまいて、その24時間後に培地交換を行った。このときに少量のNGFとさまざまな薬剤を加えたものと培地交換を行った。NGFは高濃度だと神経突起を伸ばすが、今回の研究ではアリピプラゾールの効果を評価する目的で、極めて低濃度の2.5ng/mlのNGFを添加した。NGFが存在しないと細胞は分化しない。 さらに4日後に神経突起伸長を有する細胞数を数える。細胞体の直径よりも神経突起を伸ばした細胞を神経突起伸長を起こした細胞として数を数え、さらに全体の細胞数を数え、割合を出している。〈結果〉アリピプラゾールは濃度依存的に神経突起を伸ばした。ここにWAY-100635という5-HT1A受容体アンタゴニストを加えると、アリピプラゾールの効果が阻害された。この効果はPartial であった。5-HT1Aアゴニスト8-OH-DPATはコントロールに対して約200%弱、神経を伸ばした。D2受容体アンタゴニストであるスルピリドの実験では、コントロールに対してアリピプラゾール単独では神経突起を伸ばしたが、これにスルピリドを加えても何の変化もみられなかった。スリピリド単独でも特に神経を伸ばすことも無かったため、これはD2受容体の関与ではなく5-HT1A 受容体の効果なのではないかと思われた。 さらに詳細なメカニズムを調べるために,細胞内シグナル経路について調べた。アリピプラゾール単独で、それぞれ神経突起を伸ばした。一方、それぞれの選択的な阻害薬によってアリピプラゾールの効果が阻害された。また阻害薬を単独で加えても特に何の影響も無かった。
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