研究概要 |
精神疾患のうちの統合失調症、気分障害、不安障害を中心に光トポグラフィー(NIRS)による前頭葉機能評価を行い、同時にリクルートしている健常者との比較や疾患間の比較、精神症状や日常機能評価との関連を検討した。方法として、横断Baseline計測だけでなく、1~1.5年後と3年後の縦断的フォローアップ計測を行った。 特に統合失調症初期の患者に対しては、採血や他の脳画像モダリティと同時計測することがあり、縦断的マルチモダリティ計測の計画全容やその意義について英文論文にまとめ発表した(Koike et al, 2013)。その血液データのエピジェネティクス解析から初発統合失調症に特徴的な異常を報告した(Nishioka et al, 2013)。 脳機能画像データからは、(1)健常者の不安状態や不安特性と前頭葉機能との関連、さらに課題成績との関連する脳部位との違いを報告(Takizawa et al, 2013)、(2)健常双生児における前頭葉機能において、遺伝的寄与の存在を明らかにした報告(Sakakibara et al, 2013)、(3)統合失調症の思考障害の症状が言語野のブローカ野付近の異常と関連していたことを報告(Marumo et al, 2013)、を英文雑誌に報告した。これらは、精神疾患の病状や治療効果を客観的に判断することで、より適切な治療を選び進めるための手助けとなることを目指すという、本研究の主旨に一致するものである。 その他、Baseline計測の結果や1.5年後の縦断フォローアップ計測の予備的検討結果に関連する学会発表や論文作成・投稿を行った。現在、数本の論文がin revisionの状態である。
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