研究課題
本年度は、研究期間の最終年度であることを踏まえ、社会的行動障害を伴う発達障害の病因・病態と臨床表現型との関連性に関する研究と、薬物療法や行動療法などの介入のエビデンスの解析、病因・病態論から見たテーラーメイド治療のあり方に焦点をあてて研究を進めた。社会的機能障害を伴う自閉スペクトラム症と統合失調症は、コピー数変異などのゲノムレベルでの共通性を持つことが示唆されている。研究代表者らはゲノムワイド関連解析を実施し、神経発達に重要なPTRPAの異常が共通して認められるかを調べた。しかし、PRTPAの異常が認められず、いくつかのまれな変異が病態に関連している可能性を報告した。自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症に対する薬物療法や行動療法などの介入の有効性が示される一方、病態との関連性は明確ではなかった。研究代表者らは行動療法の有効性とその位置づけをClinical Neuroscienceに発表、自閉スペクトラム症の薬物療法については中核障害にターゲットを当てた薬物療法の有効性を示すエビデンスはないが、注意欠如・多動症については、神経心理学的な検討の結果から異質性のある障害群として捉えることが妥当であることを報告した。また、成人期の注意欠如・多動症については、機能的予後との関連から、児童期からの症状継続例だけでなく、成人期になってから進行性の変化を伴う一群が存在しており、注意欠如・多動症を構成する障害群の一型をなす可能性を指摘した。そして、これらの検討を踏まえ、病態理解を踏まえたテーラーメイドな薬物療法のあり方に関して示唆される一定の指針を、学会、和文誌、書籍等にまとめて報告した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (6件)
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