研究課題/領域番号 |
23791336
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
大朏 孝治 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10535256)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | エピジェネティクス |
研究概要 |
1.培養細胞における抗うつ薬添加時のHDAC4細胞内局在におけるHDAC4量的解析-C6細胞に抗うつ薬を添加した際の全HDAC4、核内HDAC4、細胞質HDAC4をWestern blot法により解析を行った。その結果、全HDAC4の発現量に変化はなく、核内HDAC4の減少、細胞質HDAC4の増加を認めた。この結果は免疫染色法でHDAC4の局在変化を解析した結果(抗うつ薬添加時のHDAC4核外移行)と矛盾しないものであった。さらにHDAC4のリン酸化レベルをWestern blot法にて解析した結果、抗うつ薬添加時にはHDAC4のリン酸化レベルが増加していることが判明した。2.培養細胞における抗うつ薬添加時のHDAC4核外移行におけるCaMKIIδによるHDAC4リン酸化への関与の検討-まずはC6細胞にHDAC4をリン酸化させると報告されているCaMKIIδにmutationを加えた活性化型CaMKIIδであるCaMKIIδT287Dを過剰発現させ、GDNF mRNAの発現量変化をリアルタイムPCR法にて検討したが、予想に反して減少させることが判明した。そのため、glia系の細胞に比較的豊富に含まれるCaMKIIγの可能性を考え、C6細胞にCaMKIIγにmutationを加えた活性化型CaMKIIγであるCaMKIIγT287Dを過剰発現させ、GDNF mRNAの発現量変化をリアルタイムPCR法にて検討した。その結果、GDNF mRNAの発現量を有意に増加させた。3.ストレス脆弱性を有するマウス(BALB/c)とHDAC4との関連の解析-平成23~24年にかけて、(1)リン酸化部位にmutationを加えたmtHDAC4、(2)siHDAC4、(3)HDAC4 inhibitorを用いて解析を行う予定であり、準備は順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
vitroでは、C6細胞に抗うつ薬を添加した際の全HDAC4、核内HDAC4、細胞質HDAC4をWestern blot法により解析を行い、これまでに行っていた免疫疫染色法でのHDAC4の局在変化(抗うつ薬添加時のHDAC4核外移行)と矛盾しないことを証明できた。また、HDAC4のリン酸化レベルは抗うつ薬添加時に増加していることも証明できた。さらに、C6細胞にHDAC4をリン酸化させると報告されているCaMKIIδにmutationを加えた活性化型CaMKIIδであるCaMKIIδT287Dを過剰発現させ、GDNF mRNAの発現量変化をリアルタイムPCR法にて検討したが、予想に反して減少させることが判明した。しかし、glia系の細胞に比較的豊富に含まれるCaMKIIγの可能性を考え、C6細胞にCaMKIIγにmutationを加えた活性化型CaMKIIγであるCaMKIIγT287Dを過剰発現させ、GDNF mRNAの発現量変化をリアルタイムPCR法にて検討した。その結果、GDNF mRNAの発現量を有意に増加させることを発見出来た。vivoにおいても、ストレス脆弱性を有するマウス(BALB/c)とHDAC4との関連の解析を平成23~24年にかけて、(1)リン酸化部位にmutationを加えたmtHDAC4、(2)siHDAC4、(3)HDAC4 inhibitorを用いて解析を行う予定であるが、準備は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
vivoにおいて、ストレス脆弱性を有するマウス(BALB/c)とHDAC4との関連の解析を行う。平成23~24年にかけて、(1)リン酸化部位にmutationを加えたmtHDAC4、(2)siHDAC4、(3)HDAC4 inhibitorを用いて解析を行う予定である。標的脳部位は側坐核であるが、カニューレ留置術など、準備は順調に進んでいる。そのため、当初の計画通り、推進していく所存である。
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次年度の研究費の使用計画 |
BALB/cマウス、siHDAC4、留置カニューレ、ストレス負荷に必要な物品などの購入費として使用する予定である。
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