研究課題/領域番号 |
23791344
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
國井 泰人 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00511651)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 死後脳 |
研究概要 |
研究代表者は平成23年5月20より、National Institute of Mental Health Brain Tissue Collection (NIMH-BTC)という世界最大のブレインバンクの一つのある、米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health(NIMH))に留学し、NIMH-BTCを統括しているNeuropathology Sectionにおいて、本研究で重点的な検討を予定しているドパミン系・グルタミン酸系・GABA 系分子を調節する分子であるDARPP-32の発現について、genotypeをはじめ生前の症状の詳細、治療薬、嗜好、死因などNIMH-BTCの有する豊富なデータベースを駆使しながら、大規模な統合失調症死後脳サンプルを用いて検討を行った。尚、平成24年5月20日までには帰国し、福島県立医大において研究を継続する。また、連携研究者である東北大学大学院薬学研究科大槻純男准教授(現熊本大学大学院生命科学研究部教授)に、福島精神疾患死後脳バンクの統合失調症サンプル2例と医療法人さわらび会福祉村病院長寿医学研究所の健常対照サンプル2例の前頭皮質、後頭皮質を送付し解析を依頼した。2DICAL法を用いて、定量系構築が完了している分子に関して網羅的な比較解析を行った結果、1215の分子を同定し、そのうち25の分子には統合失調症と対照で有意な差が認められた。さらに、ドパミン系・グルタミン酸系・GABA 系に関連する分子を中心として統合失調症病因に関わる可能性の高い分子を、既報の研究結果をもとに100種類以上リストアップし、それらについての定量系構築を依頼している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は、平成23年度内に非精神疾患対照例20例の死後脳サンプルに対し、既報の研究結果をもとに100種類以上リストアップしたドパミン系・グルタミン酸系・GABA 系に関連する分子を中心として統合失調症病因に関わる可能性の高い分子についての解析を完了している予定であったが、現時点では、統合失調症2例及び対照2例の予備的解析を完了しただけとなっている。この理由としては、研究代表者が当該研究と密接に関連するテーマの研究とはいえ、23年度は海外留学のため日本国内で研究を行うことに制限が大きかったことと、上記の分子の定量系構築に予想以上に時間を要しているためである。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は平成24年5月20日までには帰国し、福島県立医科大学で研究を再開することで当該研究に最大限のエフォートで臨むことが可能となる。各群10例以上の多検体解析のための統合失調症及び対照例のリストアップは既に完了しており、帰国後ただちに解析のため連携研究者のもとに送付できるよう準備を整えている。また、リストアップした100種類以上の分子の定量系構築は昨年度より進行中であり、この目途が立てば一気に解析を完了することができる。平成24年度内に上記を達成できれば、当初の研究計画通りの進捗となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当講座死後脳バンクには現在2台のフリーザーが稼動し約40例の死後脳を保管し、画像解析ソフトウェアを備えた顕微鏡システムやを免疫染色システム整備しており、それらのメンテナンスのため、年間200千円は必要である。また、これまでの実績等から考えて試薬消耗品だけで月に50千円、年間600千円の支出が見込まれる。研究成果の国内学会(50 千円×2 回、100千円)や国際学会(300 千円×1 回 300 千円)での発表のため、旅費(計400 千円)が必要である。 また、関心分子の網羅的定量解析は東北大及び熊本大で行うため、両施設の人員が参加する検討会議(1 回5 千円×5 人 計2 回、50 千円)、また研究のための福島市から東北大及び熊本大までの旅費(1 人1 往復平均40 千円×2 人×5 回/年、400 千円)必要がある。本研究のデータは膨大となることが予想され、解析専用のパソコン(1台×300 千円)と関連ソフトウエア(250 千円)を用意する。
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