研究課題
前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration:FTLD)は、多様な臨床症状を呈し、いくつかの異なる病理学的背景を有する疾患群である。本年度はFTLDに関連した臨床特徴の研究として、FTLD様の症状を呈した非定型の自己免疫性脳炎、中枢神経ループス、神経ベーチェット病の症例群の臨床的特徴について共同演者としていくつかの学会発表を行った。また、FTLD様の症状を呈した中枢神経ループスの症例については論文報告を行った。これらの報告を通してFTLD類似の臨床症状を呈する症例の背景が多様であることについて理解を深めることができた。さらにFTLD剖検脳の症例の臨床記録から、FTLDに特徴的な臨床症状について、出現時期、出現期間、重症度などの調査を行った。その結果、FTLD-FUSでは舞踏病様不随意運動を呈することがあることが新たに判明し、病理学的所見と合わせて共同演者として学会発表を行った。また、舞踏病様不随意運動とFTLD様の症状を呈したハンチントン病に神経線維腫症1型を合併した稀な1剖検例について共著者として論文報告を行った。これらの報告を通してFTLDの臨床症状や病理所見が多様であることについて理解を深めることができた。さらに、FTLDと関連疾患であるレビー小体型認知症についてhypocretin発現に関する臨床病理学的研究を行い、共同演者として学会発表および論文報告を行った。
2: おおむね順調に進展している
一部、当初の計画と異なる点もあるが、研究の目的に沿って研究対象を拡大した結果である。さらに、これらの研究について学会発表や論文報告を行うことができている。
前述の学会発表を行った研究や症例報告について国内外の論文に投稿する予定である。また、FTLD剖検脳について補助的な免疫組織化学を行い病理学的検討を進めていく予定である。
本研究に関する学会発表や論文報告が、実験およびその解析が遅れてしまい次年度になってしまったため。学会発表および論文作成に際し必要な費用に使用する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件)
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