研究課題/領域番号 |
23791350
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
正山 勝 和歌山県立医科大学, 医学部, 研究員 (70364081)
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キーワード | 統合失調症 / 嗅覚 / SAI / アセチルコリン / 精神病未治療期間 |
研究概要 |
統合失調症のアセチルコリン系神経回路の障害を特異的に評価するための指標として、経頭蓋磁気刺激を用いた神経生理指標SAI(Short latency afferent inhibition)を中心にデータを収集している。また疾患の嗅覚障害、重症度のデータを集積し、関連を検証中である。これまでに集積したデータからは、SAI指標と嗅覚指標において、統合失調症患者での障害を示唆する結果を得ており、その一部を発表した。 ①簡易型短潜時求心性抑制測定解析システムMaP1645SYSを用いて、運動皮質の抑制現象を示すSAIのデータを収集した。臨床応用のために最適な測定条件を検証し、国内学会で発表を行った。追加データの解析を加えて結果を投稿準備中である。また、患者群のSAI指標が健常者に比較して低下していることを予備的なデータから示し、疾患でアセチルコリン系機能が低下している可能性を考察した。結果を海外誌に投稿した。 ②嗅覚障害の検討では、スティック型嗅覚検査を改良したカード型嗅覚検査により、健常被験者、患者群で測定を行った。患者群では罹病期間の長い慢性期統合失調症などに対象を拡大した。これまでの結果では、健常被験者に比べて、患者群での嗅覚同定能力の低下を確認している。嗅覚機能低下と罹病期間、精神病未治療期間(DUP)などとの関連を検証中である。 ③その他、統合失調症の経過との関連が深いと考えられる器質性精神障害の縦断的な症例検討を平行して行っている。関連研究を含めて、アセチルコリン指標(SAI)と嗅覚障害、未治療期間との関連を総合的に判定するための知見が得られつつあると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
簡易型短潜時求心性抑制測定解析システムMaP1645SYSの測定条件の検討に時間を要したため、データの集積が予定よりも遅延した。また、嗅覚指標はこれまでのスティック型嗅覚検査を改良したカード型嗅覚検査に測定方法を変更したため、新たにデータの収集や解析を行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
①患者群を中心にアセチルコリン系生理指標(SAI)のデータの集積をすすめる。 ②健常群にくらべて、患者群でSAIが低下しているか否かを確認する。 ③患者群での嗅覚障害のデータが精神病未治療期間、罹病期間などと関連しているかを解析をすすめる。 ③SAIの低下と嗅覚障害、精神病未治療期間、罹病期間などとの関連を総合的に検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
SAI測定装置の測定条件の検証、嗅覚指標の変更により、研究の進行に遅延が生じた。このため測定試薬の購入、学会発表などを延期し、未使用の金額が発生した。 カード型嗅覚検査キット(Open essence:八洲薬品)を追加で購入する。 研究結果の学会発表、論文投稿に伴う、旅費、校正費用にあてる見込みである。
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