術後せん妄は予後を左右する大きな因子の一つであるが、その発生機序は未だ不明である。本研究では食道癌手術および胃癌手術を受ける患者を対象に、周術期の血清抗コリン活性(Serum anticholinergic activity: SAA)と術後せん妄の発生の関係について調べた。観察した34名のうち14名に術後せん妄を認めた。せん妄群と非せん妄群の間で、術前のSAAの値に有意差はなかったが、術前にSAA(+)で術後もSAA(+)またはSAA(±)であった数はせん妄群で有意に高かった。 本研究から、周術期の抗コリン活性の推移と術後せん妄の関連が示唆された。
|