研究課題/領域番号 |
23791355
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
小林 伸行 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20385321)
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キーワード | 気分障害 / 動物モデル / ヒトヘルペスウイルス6 / 双極性障害 / うつ病 / SITH-1 / HHV-6 |
研究概要 |
(i) ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の潜伏感染遺伝子であるSITH-1を脳に強制発現させたマウスを利用した遺伝子発現解析 平成23年度に作成したSITH-1を発現させるトランスジェニックマウスはCre/loxP発現制御システムを利用しているため、SITH-1発現を誘導するにはCreリコンビナーゼの発現が必要である。当該年度では、SITH-1をHHV-6の潜伏感染部位であるアストロサイト特異的に発現させるため、Glial fibrillary acidic protein (GFAP)プロモーターで制御されるCreリコンビナーゼ発現ウイルスベクターの作製を試みた。しかし、アデノウイルスベクター作製に難航し、作製が今年度で完了しなかった。作製の目途は立っているため、平成25年度にはGFAP制御のCreリコンビナーゼ発現アデノウイルスベクターとSITH-1を発現させるトランスジェニックマウスの利用により、SITH-1の長期的な脳への影響が検討可能になると考えている。 (ii) 抗SITH-1抗体価およびSITH-1関連候補遺伝子を利用した、双極性障害診断バイオマーカーの有用性に関する臨床的検討 臨床検体の収集を開始した。なお、東京慈恵会医科大学倫理委員会の承認を得た上で、対象となる被験者には署名による同意を得て実施した。まず、平成23年度の結果により、明らかとなった候補遺伝子の遺伝子発現変化を調べるため、血液検体からRNAを精製し、real-time RT-PCRにより発現変化を定量した。しかし、検体数が未だ充分でなく、統計的評価は出来ていない。引き続き平成25年度も同様の検討を行っていく予定である。この検討から、臨床的に有用となる診断バイオマーカー開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にも記載したとおり、アデノウイルスベクター作製に難航していることが一番の原因である。ただ、その作製の目途は立っているため、平成25年度には挽回できるものと考えている。 一方、臨床検体の収集は順調に開始しており、臨床的検討は引き続き平成25年度も行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度である平成25年度は、平成24年度の研究計画を引き続き行うことを予定している。臨床検体の収集は時間を要することが予想されていたため、引き続き統計学的解析が可能となるまでに血液検体の収集に努める。その検体を遺伝子発現解析することにより、臨床的に有用となる診断バイオマーカー開発を目指す。 同時に、SITH-1を発現するマウスを利用した動物実験を行うことにより、臨床検体における結果との整合性、相関を検討する。これらのことから、SITH-1が脳へ影響するメカニズムを解明することを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、臨床血液検体およびマウス脳・血液よりRNAを精製するキット、逆転写反応キットならびにreal-time PCRを行う試薬の購入費に使用する予定である。 また、最終年度であるため、研究成果を発表するための、学会参加旅費および論文作製費に使用する予定である。
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