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2012 年度 実績報告書

ドーパミンD1受容体シグナルに着目した薬物依存および統合失調症の治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 23791359
研究機関久留米大学

研究代表者

首藤 隆秀  久留米大学, 医学部, 助教 (70412541)

キーワード薬物依存 / 統合失調症 / ドーパミン / メタンフェタミン / コカイン
研究概要

本研究では、薬物依存症および統合失調症の再燃モデルである逆耐性を消失させるドーパミンD1受容体刺激薬反復投与の作用機序の解明および、上記疾患の症状に対する治療効果の検討を行った。
メタンフェタミン急性作用では線条体におけるドーパミンD1受容体/PKAシグナルが増強されるが、メタンフェタミンを反復投与した薬物依存症および統合失調症のモデルラットの線条体では、ドーパミンD1受容体/PKAシグナルの反応性が減弱していた。このシグナル反応性の減弱は、ドーパミンD1受容体刺激薬を反復投与することで正常に近づくという結果が得られた。DARPP-32遺伝子改変マウスを用いた検討により、メタンフェタミン逆耐性の形成には、DARPP-32 Thr34残基のリン酸化を介したドーパミンD1受容体/PKAシグナルが必要であるという結果が得られた。また、ヒストン脱アセチル化薬レスベラトロールを用いた検討により、コカイン逆耐性の形成にはヒストンのアセチル化レベルの変化が関与していることが示唆された。また、自発運動量を指標とした行動解析では、ラットと比べてマウスではドーパミンD1受容体刺激薬による十分な治療効果が得られなかった。そのため、薬物依存症の精神依存の動物モデルである条件付け場所嗜好性試験においてラット用の実験装置の増設を行い、最適な実験条件を設定した。また、統合失調症の認知機能障害の動物モデルであるプレパルスインヒビションテストでは、ドーパミンD1受容体/PKAシグナルの増強が認知機能を亢進させるという結果を得た。さらに、本研究を進める際、ヒストン脱アセチル化薬として広く用いられているレスベラトロールが、ドーパミン神経伝達に対して急性投与で増強作用を示すことを明らかとした。
本研究より、ドーパミンD1受容体刺激薬の、薬物依存症および統合失調症に対する治療薬としての有用性が示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Acute effects of resveratrol to enhance cocaine-induced dopamine neurotransmission in the striatum.2013

    • 著者名/発表者名
      Takahide Shuto
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters

      巻: 542 ページ: 107-112

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2013.02.050

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Muscarinic receptors acting at pre- and post-synaptic sites differentially regulate dopamine/DARPP-32 signaling in striatonigral and striatopallidal neurons.2012

    • 著者名/発表者名
      Kuroiwa Mahomi
    • 雑誌名

      Neuropharmacology

      巻: 7 ページ: 1248-1257

    • DOI

      10.1016/j.neuropharm.2012.07.046

    • 査読あり
  • [学会発表] コカインで増強される線条体ドーパミン情報伝達に対するレスベラトロールの急性薬理作用2013

    • 著者名/発表者名
      首藤 隆秀
    • 学会等名
      第86回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      20130221-20130223
  • [学会発表] 線条体におけるムスカリン受容体を介したDARPP-32リン酸化調節2013

    • 著者名/発表者名
      黒岩 真帆美
    • 学会等名
      第86回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      20130221-20130223
  • [学会発表] コカインにより活性化される線条体ドーパミン神経伝達に対するレスベラトロールの急性作用2012

    • 著者名/発表者名
      首藤 隆秀
    • 学会等名
      第65回日本薬理学会西南部会
    • 発表場所
      熊本大学薬学部(熊本)
    • 年月日
      20121123-20121123

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公開日: 2014-07-24  

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