重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症例を対象に意欲・高次認知機能を評価し、睡眠呼吸指数との関連を検討した。また、認知機能に影響を与えている睡眠呼吸指数の影響を受ける脳領域をFA/ADC画像、灰白質画像・白質画像にて検討した。その結果、自覚的な眠気と意欲に関連があり、睡眠呼吸指数のうち最低SpO2のみが高次脳機能に影響を与えていた。神経軸索の微細な変化を反映するADC・FA画像では高次脳機能を司るとされる内側前頭野・下前頭葉および覚醒に関わる神経核群が存在する脳幹・中脳橋部のADC・FA値が低酸素侵襲の指標である最低SpO2と正の相関を認め、同領域の白質密度も同様に正の相関を認めた。また、海馬傍回灰白質密度も最低SpO2と正の相関を認めた。以上のことから、重度閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、低酸素侵襲がわずかながらに認知機能低下をもたらし、これは、脳の軸索レベルでの低酸素侵襲による微小な障害を伴っていることが示された。
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