研究課題
シャント術を予定している特発性正常圧水頭症(idiopathic normal-pressure hydrocephalus, 以下iNPH) 1例(年齢74歳、女性)、健常高齢者10例(年齢70±2.8歳、男女比6:4)、アルツハイマー病患者18例(年齢71.9±5.4歳、男女比7:11)に対し、11C-BF227と陽電子放射型断層撮影(PET)を用いたアミロイド・イメージングを行った。各関心領域(前頭葉、側頭葉、頭頂葉皮質、後部帯状回)の標準取込値(Standard Uptake Value, 以下SUV)の平均を算出し、小脳を参照領域として小脳の平均SUVとの比をとって、各関心領域のSUV ratio(以下SUVR)を示した。前頭葉、側頭葉、頭頂葉皮質、後部帯状回のSUVRの平均を大脳皮質SUVRとした。iNPH患者の大脳皮質SUVRと、健常高齢者群、アルツハイマー病患者群の大脳皮質SUVRと比較した。iNPH例についてはPET撮像後シャント手術を行い、3カ月後に治療効果を評価した。 iNPH群のSUVRは1.15、健常高齢者群は1.11±0.08、アルツハイマー病患者群は1.31±0.09であった。iNPH例では手術3カ月後に歩行障害の改善などシャント術による治療効果を認めた。 今回PET撮像を行ったiNPH例については大脳皮質SUVRが比較的低く、アミロイドの大脳皮質への集積はあまりみられないと評価した。今後症例を蓄積して、アミロイド・イメージングの結果とシャント術による治療反応性との関係などの解析を行っていきたい。
3: やや遅れている
平成23年3月11日の東日本大震災により実験機器に損傷が生じたため、しばらく陽電子放射型断層撮影(PET)検査が行えず、特に特発性正常圧水頭症患者の被験者数を十分に増やせていない。
陽電子放射型断層撮影(PET)検査の実施の遅れを取り返し、データが蓄積し次第データを解析し、論文作成および学会での発表を行なって行きたい。
画像データの解析ソフトや論文作成のための参考図書の購入、研究成果を学会で発表するための旅費、論文の英語校正代等に研究費を使用することを予定している。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)
東北大学グローバルCOEプログラム 新世紀世界の成長焦点に築くナノ医工学拠点 ナノ医工学年報2011
巻: 5 ページ: 79-90
Journal of Neurology
巻: 258 ページ: 820-825
Neuropsychologia
巻: 49 ページ: 1897-1902
巻: 258 ページ: 1949-1957
Neurological Sciences
巻: 32 ページ: 1115-1122