研究課題/領域番号 |
23791396
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
加藤 弘之 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (30334121)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | QOL / 有害事象 / 放射線治療 / 重粒子線治療 / 前立腺癌 |
研究概要 |
本研究の初年度となる平成23年度の研究実施計画に基づき,質問紙票による従来のHRQoL調査法を用いて,コントロールとなるHRQoL評価データを収集する目的で,群馬大学で炭素イオン線治療による根治的放射線治療を行った前立腺癌患者・計76例を対象とし,国内での妥当性試験が行われ,評価が確立しているHRQoL調査方法である,SF-8(包括的HRQoL測定尺度)と,EPIC(前立腺癌特異的HRQoL測定尺度)の日本語版質問紙票を用いてHRQoL調査を行った.HRQoL調査は,変化を解析する際の基準となる治療開始前、急性期障害による差がでると予測される治療終了時、さらに治療後の急性期障害の回復が期待される治療開始後90日後に行った.さらに,HRQoL調査時期に合わせ,客観的な急性期有害事象の指標となりえる尿流量・残尿測定検査を行った.得られた結果より,質問紙票による従来のHRQoL調査法によるデータ収集状況の分析と,HRQoL調査法の妥当性を検証するため,HRQoL調査法のデータと尿流量・残尿測定検査との比較分析を行った.その結果,SF-8(10評価項目)の有効回答率は,治療開始前,治療終了時,治療開始後90日後の順で,98.3%,98.7%,95.9%で,EPIC(14評価項目)の有効回答率は,91.5%,92.4%,90.4%であった.尿流量・残尿測定検査での最大尿流量と,EPICのUrinary Summary scoreに強い相関関係が認められた(r=0.240,p=0.002).以上の結果より,治療開始後の経過とともに有効回答率が低くなる傾向と,評価項目が多い方が有効回答率が低くなる傾向が確認された.また,HRQoL調査法の客観的妥当性が確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画とやや異なる分析・評価が行われたが,平成23年度の研究目的である,質問紙票による従来のHRQoL調査法での,コントロールとなるHRQoL評価データの収集と分析は十分行えたと考える.
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今後の研究の推進方策 |
当初より次年度の平成24年度に予定された,IT化されたHRQoL調査システムを使用しての,HRQoL評価データを収集とデータ解析を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究計画のために行う予定であった、平成23年度のシステム開発・導入が、ITシステムの基本ソフト(OS)、データベースソフトウェア、ハードウェアの予期されぬ更新があり、システム導入、開発予定が延期されたため,当初より平成23年度から予定されていたIT化されたHRQoL調査システム開発とシステム構築を行い,集積されたデータ解析を行う.
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