研究課題/領域番号 |
23791400
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小阪 孝史 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (50579836)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 脳内σ-1受容体 / イメージング |
研究概要 |
老化やストレス性疾患の客観的な評価法の開発を目的として、脳内のσ-1受容体のイメージング研究に取り組んでいる。本研究で最も重要な鍵となるのは、脳内σ-1受容体に対して、高親和性のみならず、高選択性をも有するリガンドの新規開発である。本年度は、ベサミコールをリード化合物として、高選択的σ-1受容体リガンドとなる可能性がある新規候補化合物の合成研究を行った。本研究分野に関して、ベサミコールの4-フェニルピペリジン骨格及びヨードの導入位置は、σ-1受容体への高親和性の発現に対して、重要な因子であるという知見が既に得られている。そこで、パラ位にヨードを有するフェニルピペリジン骨格を保ちつつ、シクロヘキサン部分の構造変換に取り組んだ。シクロヘキサン構造を保持した方がσ-1受容体への高親和性を維持できると考え、trans-デカリン骨格を有するp-ヨード-trans-デカリンベサミコール、もしくはテトラハイドロナフタレン骨格を有するp-ヨードベンズベサミコールをデザインした。どちらの化合物もp-ブロモベンズアルデヒドを共通の原料とし、それぞれ7工程を経て、新規合成及び精製に成功した。次に、既に別途合成した、o-トリメチルスズ-trans-デカリンベサミコールを前駆体とし、125Iもしくは11Cでの標識の予備実験を行った。まず、一般的なスズ-放射性ヨード交換反応による125Iの導入とその精製に成功した。また、パラジウム触媒を用いたカップリング反応による[11C]メチル基の導入を行い、 [11C]メチル化の自動合成装置のプログラミングや反応条件、精製条件などの設定に成功した。これらの結果を応用することにより、目的とする標識体の合成が可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高選択的σ-1受容体リガンドとなりうる新規候補化合物群の合成と、放射性核種での標識法の検討を行ったことにより、研究の第一段階での成果は順調に得られていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた新規化合物群の生物学的な評価を行い、その結果に基づき、画像化の検討に進むか、もしくは更なる化合物構造の最適化を検討するかを判断する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の推進方策に従い、バインディングアッセイに必要な動物や器具、消耗品などの購入や、有機合成に要する試薬の購入を計画している。また、実験成果の発表や情報収集を目的とした積極的な学会出席による旅費の支出も予定している。
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