研究課題
本研究では、酢酸PET画像診断により腫瘍個別の脂肪酸合成活性を判別し、脂肪酸合成酵素を標的としたがん制御治療における効果を事前に予測する新たながん治療体系の確立を目指し、前臨床的知見を得ることを目的として、以下の検討を行った。(1)酢酸PETを用いたFASN活性判別に基づくFASN標的がん制御治療における効果予測-in vitro実験 ヒト前立腺がん細胞(LNCaP、PC3、22Rv1、DU145)を用い、酢酸取り込みとFASN発現量・FASN標的治療の治療効果との関係性につき、in vitroで調査した。FASN標的治療には、FASN阻害剤であるOrlistatを用いた。その結果、細胞の酢酸取り込み量は、FASN発現量並びにOrlistat投与による細胞殺傷効果と、正の相関関係にあることが示された。(2)酢酸PETを用いたFASN活性判別に基づくFASN標的がん制御治療における効果予測-in vivo実験 ヒト前立腺がん細胞(LNCaP、PC3、DU145)を大腿部に移植した担がんマウス用い、酢酸取り込みとFASN発現量・FASN標的治療の治療効果との関係性につき、in vivoで調査した。その結果、酢酸PETを用いたFASN活性判別を行うことで、FASN標的がん制御治療における効果予測を行うことができることを明らかにした。(3)FASN標的治療のメカニズム 本検討では、 FASN標的治療におけるメカニズムの詳細を明らかにすることを目的に、前立腺がんFASN高発現細胞を用い、 FASN抑制による生物学的影響を詳細に調査した。その結果、FASNを抑制することで、がん細胞の増殖のみならず、仮足形成・遊走・浸潤といったがんの進展に関わる重要な機能を複合的に抑制できることをはじめて明らかにした。
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PLOS ONE
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