①デキストラン被覆微小超常磁性酸化鉄ナノ粒子(USPIO)、②マンナンデキストラン被覆USPIO、③マンナン単独被覆USPIOを投与する3群の比較を計画し、③の作成に時間を要したため、初年度は①、②で比較を行った。最終年度は③を含めて解析を行った。①、②、③を渡辺遺伝性高脂血症ウサギに0.8mmol Fe/kgずつ投与(n=3)、投与後5日目で、in vivo 造影MRAを行った後、摘出血管でin vitro MRIを撮像した。冠状断の異なる3断面で、3×20pixelの関心領域の信号雑音比SNRを3ヶ所ずつ測定、平均を算出した。血管標本の組織学的評価を行い、酸化鉄局在の確認にはベルリンブルー染色、マクロファージ同定には免疫組織化学染(RAM11)を施行し、200倍1視野における鉄染色陽性面積をImage J softwareにて解析、1標本につき3視野で測定し平均値を算出した。鉄陽性面積は①、②、③投与群の後二者で前者より有意に多かった (p<0.05)。in vivo MRAで血管壁のSNRは製剤投与後低下し、投与前後のSNRの差は、③と①の比較では有意差(p<0.05)が、②と①では有意傾向が見られ(p<0.1)、2種のマンナン被覆粒子がより強い血管信号変化を示した。血管標本のSNRは、②、③ともに①に比べ値が低く、有意傾向(P<0.1)が見られた。鉄染色陽性部位及び、マクロファージ染色陽性部位はよく一致していた。培養細胞への取り込み比較実験では、細胞内鉄量に有意差は確認されなかった。マンナンを付加した②、③は①に比べ、動脈硬化血管壁に多く取り込まれ、MRIの信号変化も強く認められる傾向にあり、動脈硬化病変の診断におけるマンナン付加粒子の有用性が示唆された。但し、マンナン付加方法の異なる2種の間では差は見られず、付加方法による病変感受性向上は確認できなかった。
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