研究課題
平成23年度に実施できた研究は,主に(1)外部呼吸信号の解析,(2)動態下におけるIMRT線量分布検証,および(3)膵癌に対して息止めIMRTを施行した症例における線量分布検証の3項目である.項目(1)では,本学で取得した300パターンを超える外部呼吸信号を解析した.その結果,平均周期が4秒であることがわかった.項目(2)では,4秒周期の模擬波形動態下において,呼吸性移動量を変数として臨床で使用した複数のIMRTプランを用いて線量分布を取得し,非動態下で取得した線量分布と比較した.その結果,呼吸性移動量が5mm未満の場合では,非動態下における線量分布とほぼ一致していたが,5mm以上では一致率が著しく低下した.項目(3)では,膵癌に対して息止めIMRTを施行した症例の腹壁運動データを解析した.息止め下であっても,ベースラインドリフトおよび心拍動が観測され,これらが線量分布に及ぼす影響について検証した.その結果,心拍動の影響は無視できるほど小さかったが,5mm以上のベースラインドリフト下における線量分布は,非動態下と比較して,その一致率が大きく低下することが明らかとなった.以上より,動態を伴う腫瘍に対してIMRTを実施する場合,移動量が5mm未満であれば,安全な照射を実施できることが示唆された.上記3項目の他に,平成24年度以降の計画であった動態下におけるフルエンスマップ生成ソフトウェア開発にも着手できた.
2: おおむね順調に進展している
平成23年度に予定した計画を概ね完遂し,平成24年度に予定していた動態下におけるフルエンスマップ作成ソフトウェア開発にも着手できた.
動態周期・移動量および照射タイミングをパラメーターとし,これらを組み合わせた動態下におけるフルエンスマップ作成ソフトウェアを完成させる.本ソフトウェアを用いて非動態下におけるフルエンスマップと比較し,その差異の原因を追究する.
動態下におけるIMRTの安全性は未だ明らかになっていないため,国内外の学会での情報収集が必要である.このため,旅費が多く必要となる見込みである.これ以外にデータ解析用ソフトウェアやデータ集積用の消耗品を研究費に用いる予定である.
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