研究課題/領域番号 |
23791409
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松尾 幸憲 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80456897)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肝臓癌 / 体幹部定位放射線治療 |
研究概要 |
平成23年度に実施できた研究は、体幹部定位放射線治療を行った肝腫瘍症例における治療成績の後方視的解析および治療計画CTにおける撮像タイミングの最適化の2項目である。当院で2003年~2011年に肝腫瘍に対して体幹部定位放射線治療を施行した8名9病変を評価。内訳は肝細胞癌5名5病変、肝転移2名2病変、肝細胞癌と肝転移の併発1名2病変である。用いた線量分割は2名2病変を除いて48Gy/4分割であった。観察期間中央値16.5ヶ月の時点で肝転移の1病変のみ再発、その他の病変においては全例局所制御が得られていた。肝転移1名において他病死が見られたが、その他の症例は全例存命であった。観察期間を通じて放射線治療に関連した有害事象は認められなかった。治療計画CTの撮像タイミングに関しては、治療計画担当の技師と打ち合わせを行い、(1)線量計算用の単純四次元CT、(2)造影剤注入開始後30秒の動脈相で呼期息止め、(3)その直後の門脈相で軽い吸気息止め、(4)最後に呼期息止めという4相の撮像プロトコールを構築した。頻繁な息止めを要するが事前に説明を行うことで患者側の理解を得られ、撮像中の腹壁を赤外線カメラで監視することで適切なタイミングでの撮像が可能であった。また、病変部位の同定と共に腫瘍の呼吸性移動の範囲の把握が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に予定した計画のうち、呼吸性移動量の評価は十分できず、金マーカー刺入も実現できなかった。また、これと関連するが、病変部位の日間変動も検討できなかった。体幹部定位放射線治療の対象となる肝臓癌症例があまり多くなかったことが一因である。
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今後の研究の推進方策 |
肝腫瘍における体幹部定位放射線治療の有用性を各種学術集会で発表すること、また他施設での治療成績を紹介することにより、適切な症例のリクルートを図る。平成23年度の研究計画で進捗が滞っている項目のうち、呼吸性移動の管理・評価を平成24年度に引き続き行う予定である。具体的には、リピオドール沈着のある症例や保険適応となった金マーカーの留置症例において、四次元CTや2方向同時のX線透視により三次元的な肝腫瘍の呼吸性移動を評価したいと考えている。標的体積設定に関して、治療計画CTでの平均化画像以外に、最大信号投影像(Max-IP)や最小信号投影像(Min-IP)の利用を検討する。また、照射方法の最適化に関して、今年度より健保収載となった動体追尾法の適応も考慮する。
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次年度の研究費の使用計画 |
肝臓に対する体幹部定位放射線治療はまだ一般的に確立した手法ではないため、国内外の学会での情報収集が必要である。このための旅費が多く必要となる見込みである。これ以外に実験用の金マーカー購入やデータ集積用の消耗品に研究費を用いる予定である。
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