研究課題
昨年度に臨床適応を開始した肝臓癌に対する動体追尾放射線治療を継続して行った。これまでに3例(4病変)に対し実施したが、治療手技に関する不具合は特になく、全例で予定治療を完遂できた。動体追尾放射線治療により、通常の治療と比較して計画標的体積を約40%縮小し、正常肝の平均線量は約17% 、20Gy以上照射される体積は約22%低減することが可能であった。治療一次効果としては全病変で腫瘍の縮小が認められた。その後1病変において再発と思われる腫瘍の再増大を認めたが、そのほかの病変では局所制御は良好であった。照射終了後に一過性の肝酵素軽度上昇を認めた症例はあったが、重篤な急性期有害事象は認められなかった。今後は長期的な治療成績や晩期毒性の評価が課題である。対外的な活動として「呼吸性移動対策を伴う放射線治療に関するガイドライン」の策定に関与した。同ガイドラインの日本語版が平成24年6月に、英語版が平成25年5月にそれぞれ発行され筆頭著者を務めた。また、肝細胞癌に対する定位放射線治療の多施設臨床試験が発足しプロトコール策定に協力した。プロトコール策定の際に実施された治療計画比較試験は、研究事務局により論文化された。3年の研究期間を通じて、肝臓癌に対する定位放射線治療の実施フロー(マーカー挿入、治療計画用CT撮像、治療計画と線量計算、動体追尾定位放射線の実施)確立は達成された。これにより肝臓癌の局所治療として定位放射線治療の選択肢を提供できるようになったことは我が国のがん治療にとって大変意義深いと考える。しかしながら、今回の研究期間では十分な症例数を経験できなかったため、もう一つの研究目的である治療後の経過観察手法の確立は達成されなかった。これに関しては今後の課題としたい。
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