本研究の目的は、疾患の分子機構を標的として、病態生理学的観点と製剤学的観点からプローブ設計を行い、前立腺がんの核医学診断を目的としたPET・SPECT用分子イメージングプローブを設計・創製することにある。本研究では、前立腺がんの細胞膜上に発現する特異的タンパク質であるProstate-specific membrane antigen(PSMA)を標的としたイメージングプローブの開発を計画した。PMSA の阻害剤として報告されているメルカプト基を有する非対称ウレア化合物を母格として選択し、新規プローブ[123I]IGLCE を設計・合成した。[123I]IGLCE は in vitro で PSMA に対する高い親和性、プローブとしての十分な安定性を示した。腫瘍移植モデルマウスにて PSMA 発現腫瘍(LNCaP)に高い集積を示し、その集積は PSMA の阻害剤 2-PMPA で阻害された。 [123I]IGLCEを用いた SPECT/CT 撮像では LNCaP を選択的に描出し、[123I]IGLCE の前立腺がん診断用プローブとしての有効性が示唆された。
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