研究課題/領域番号 |
23791414
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 晃司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10580110)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | MRI / パルスシーケンス / シミュレータ / 磁気共鳴画像 / 画像再構成 |
研究概要 |
本年度は既開発の簡易パルスシーケンスシミュレータに対して、1、読み取り方向に加え、位相方向とスライス方向の勾配磁場をモデルに組み込むことで、スピンの座標の違いによる局所磁場の違いがシミュレーションに反映できるようになった。また、その効果をデジタルShepp-Loganファントムを用いて検証した。2、スライス選択や再収束に用いられているsincパルスに加え、MTパルスとして用いられることがあるhardパルス及びFermiパルスを実装した。パルスシーケンスではスピンエコー、高速スピンエコー、グラジエントエコー、SSFP、EPIを実装した。またこれらのシーケンスでTR, TE, 、フリップ角、バンド幅が任意に選べるようにした。勾配磁場の立ち上がりの早さ、ならびに最大値も任意に設定できるようにした。3、シミュレーションの結果を、任意の開始時間・終了時間と任意の速度で動画として保存出来る機能を開発し、教育用ソフトウェアとしての付加価値を高めた。4、このソフトウェアについては実行形式のプログラムを教室ホームページで一般公開した。上記とは別途新たに、パラレルイメージングを用いた画像再構成実験を行うための基盤として、装置から出力したraw data(複素表現されたデータ)に対して、任意の間引きを行ったあとフーリエ変換を適用して画像再構成を行うソフトウェアを開発した。背景信号抑制に用いられるIRパルスを複数組み合わせた場合の信号変化をシミュレートする簡易的なソフトウェアを開発し、骨盤部time-SLIP法においてその検証を行った。2012年4月に開催される日本医学放射線学会では一般公開したソフトウェアに関する発表と、骨盤部time-SLIP法でのBBTIと画像コントラストのシミュレーションに関する発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由)H23年度に予定していた静磁場の乱れとその補正に関するシミュレーション、並びに生情報(raw data)から画像再構成を行うシステムについては機器のハードウェアに関する情報収集が思ったほど進まず、進捗が遅れた。一方、H24年度に予定していたIRパルスによる背景抑制効果の検討、およびモデルへの位置情報の組み込みについては今年度に前倒しして施行することが出来た。従って、計画全体としての進捗は順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度進捗があった内容をさらに発展させる。即ちtime-SLIP法における背景信号抑制に関する簡易的なソフトウェアをパルスシーケンスシミュレータに統合し、より臨床での使用状況に近いシミュレータを目指す。これと並行して、進捗が遅れている内容についても情報収集と実装をすすめる。一般公開を行ったパルスシーケンスシミュレータは利用者の声を幅広く集め、さらなる改善の方策を探る。また、教育的用途のみならず学術的用途についても可能性を追求してゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度はMRIの生情報(raw data)のデータ量が思ったほど多くなかったため、ストレージにかかる費用が安く済んだ。また開発用ソフトウェア(Matlab)に関しては京大ユーザーズグループに加入することで費用を抑えることができた。次年度以降はMRIの生情報(raw data)の蓄積のための設備と、ソフトウェアの高速化のためのワークステーションの購入、並びに海外を含めた学会発表を中心として研究費を使用する予定としている。
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