研究課題/領域番号 |
23791439
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
岡山 悟志 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40445052)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 心筋症 / MRI / MRS / 心筋代謝 / 乳酸 / 脂肪 |
研究概要 |
1)心筋MRスペクトロスコピー(MRS)の至適撮像条件の検討 本研究は,ミトコンドリア心筋症の病態を心臓MRIによって解明することをである.心臓MRIを用いた評価法の1つであるMRSについて,心筋内脂肪または乳酸計測における至適撮像条件の検討を行った.なお,実用性を考慮し心臓MRIを1時間以内に終了させるため,MRSは息止め・心電図同期で撮像することとした.MRSに大きく影響を与えると考えられる関心領域の位置と大きさ,サンプリング回数,TE値,およびTrigger delayについて検討した.結果,関心領域の位置 心室中隔基部,大きさ 20 × 20 × 10 mm,サンプリング回数 12,TE 30(脂肪測定)または135(乳酸検出),およびTrigger delay 約300 ms(収縮末期)が最適とされたが,測定困難な症例があり,さらなる検討が必要であると考えられた.2)ミトコンドリア心筋症患者における検討 当院で加療されているミトコンドリア心筋症9例を抽出し,このうちの1例に対して心臓MRIを実施した.シネ画像で軽度の左室肥大を認め左室駆出率は正常であったが拡張能は低下していた.また,心周囲脂肪や心筋の脂肪変性は認められなかった.遅延造影画像では右室境界部に島状の高信号領域が認められた.MRSでは心筋内脂肪蓄積や乳酸は検出されなかった.さらに,ミトコンドリア心筋症を合併している可能性が高い左室肥大を伴う糖尿病患者5例に対して心臓MRIを実施した.MRSで検出される心筋内脂肪蓄積は,糖尿病を合併しない心疾患患者に比して多い傾向が認められた.また,このうちの1例で乳酸が検出された. 今後,さらに,症例数を増やし,心臓MRI所見と臨床背景とを比較し予後調査を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
稀な疾患であるミトコンドリア心筋症患者の抽出に時間を要し心臓MRIが実施できた症例が少ない.心臓MRIが実施できていないミトコンドリア心筋症患者8例に対しても早急に心臓MRIを実施する.また,ミトコンドリア心筋症の可能性が高い左室肥大を合併した糖尿病患者に対しても積極的に心臓MRIで評価していく.
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリア心筋症は稀な疾患であり患者の抽出に時間を要している.この問題については,関連病院から難聴,筋力低下および左室肥大のいずれかを伴う糖尿病患者を当院へ紹介するシステムを構築することにより対処する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の目的は心臓MRIによってミトコンドリア心筋症の病態を解明することをである.心臓MRIを用いた評価法の1つとしてMRSを用いて心筋内脂肪や乳酸を計測することを試みているが一部の症例では計測できない.至適撮像条件のさらなる改善や,ソフトウェアのバージョンアップなどに研究費を使用する予定である..
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