研究課題
1)心筋MRスペクトロスコピー(MRS)の至適撮影条件の検討本研究は,ミトコンドリア心筋症の病態を心臓MRIによって解明することである.心臓MRIを用いた評価法の1つであるMRSについて,ひきつづき至適撮影条件を検討した.これまで我々が用いていた息止め・心電図同期を用いた心筋MRSでは約 20 秒以内に撮影を終わらせる必要があるため,積算回数は10-12回に制限されスペクトルの検出感度が不良であった.今回,我々は,呼吸と心電図を同期させた心筋MRSを導入した.積算回数を36回に増加させることができた.健常者での検討では,息止め・心電図同期の心筋MRSに比べて心筋内脂肪のスペクトルが有意に高かった.2)心臓MRIによる検討当院で加療されているミトコンドリア心筋症9例を抽出し,このうちの3例に対して心臓MRIを実施した.シネ画像で1例に左室肥大が認められ全例に左室収縮能障害は認められなかった.また,全例で心周囲脂肪は少なく心筋の脂肪変性は認められなかった.遅延造影画像では1例に右室境界部に島状の高信号領域が認められた.MRSでは1例で心筋スペクトルが検出できず,2例で心筋内脂肪蓄積の増加は認められなかった.さらに,ミトコンドリア心筋症を合併している可能性が高い肥大型心筋症患者22例に対して心臓MRIを実施した.MRSで検出される心筋内脂肪蓄積は左室心筋重量と負の相関関係,左室駆出率と正の相関関係を示した.また,乳酸は検出されなかった.これらの症例は後日の精査によりミトコンドリア心筋症が否定された.3)予後評価心臓MRIが実施されたミトコンドリア心筋症3例の約2年間の心血管予後は良好であった.しかしながら,遅延造影が認められた1例は神経症状の増悪により入退院を繰り返した.
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