・静磁場3.0テスラのMRI装置を用いて、従来から形態評価に用いられているT1強調画像、T2強調画像に加えて、機能的MRIと考えられるBOLD(blood oxygenation level-dependent)MRIのT2*値、拡散強調画像(DWI: diffusion-weighted image)のADC(apparent diffusion coefficient)値、FA(fractional anisotropy)値、ASL(arterial spin labeling)による組織灌流量の測定を腹部MRIルーチンのシークエンスに組み込み、腎の内部構造、酸素分圧・虚血程度、線維化の進行具合、尿細管・細血管微細構造の変性程度、組織重量当たりの灌流量の評価が同時に可能になった。 ・1.5テスラMRI装置による評価では、ADC値が腎生検標本の間質線維化・尿細管萎縮程度に有意に相関していたが、3.0テスラに移行後は相関が弱くなった。原因としてb値の設定に変更が必要な事が判明した。拡散強調画像系では、ADC値の他に、FA値の測定、拡散テンソル画像の構築を目標としているため、現在も約30症例毎に放射線科との協議を行い、適切な撮像条件の検討を常に行っている。 ・脳神経学分野では、MRIコンソール上で作成されたデータから機能解析を行うためのソフトウエアが複数存在するが、腎の機能的MRIに関しては同様のソフトウエアが無い。2014年度から当大学の保健医療学部の研究者に共同研究をお願いして、MATLAB(数値演算コンピュータ言語)を基礎とした画像解析ソフトの開発に着手している。現在、GUIを備えたbeta版を使用しているが、データ処理には未だに多くの問題点がある。他施設で腎機能的MRIを導入する際のハードルを下げる為にも、汎用性があり容易に操作できるソフトウエアを開発を続けている。
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