研究課題
小線源治療は線源に隣接する組織には処方線量を上回る線量が投与されるが、距離が離れるほど線量は減衰するため、臨床現場では辺縁部位の再発を経験する。I-125 シード線源を用いた低線量率小線源治療(以下、I-125シード治療)において、治療強度の増加ならびに有効な治療範囲の拡大が実現できるかを検討する。有効な治療範囲の拡大ならびに治療強度の増加によって、とくに中高リスク前立腺癌の治療成績の向上を目的とする。 I-125シード治療の線量評価には治療計画装置Eclipse(ver. 7.3)を使用した。Eclipse にはI-125シード線源の各モデルに対応する線量計算パラメータを入力し、I-125シード治療の線量計算のためのモデリングを行った。I-125シード治療の線量計算は、単一線源の線量分布情報の正確性が重要であるため、Eclipseの単一線源に対する任意点の線量計算値を独自に開発したソフトを使用し検証した。I-125シード治療用治療計画装置VariSeed(ver. 8.0)により術後線量計算した患者情報をDICOM-RT形式によりEclipseにインポートすることで、マルチモダリティによる線量の重ね合わせを行った。 Eclipseの単一線源に対する任意点での線量計算値を検証した結果,全て1%未満であった.再計算後のI-125シード治療の線量分布を利用することで、他のモダリティとの重ね合わせが可能となり、治療計画へのフィードバックにつながることが示唆される。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的であるI-125シード治療の治療強度の増加ならびに有効な治療範囲の拡大にむけてマルチモダリティによる治療の統合化が必要である。本年度の研究で、I-125シード治療と他のモダリティとの重ね合わせ・合算による評価が可能になったと考えられ、おおむね順調に進展していると判断する。
本年度の研究で行ったマルチモダリティによる線量の重ね合わせをファントムを用いて実測データにて検証する。また、I-125シード治療において、線源に近い臓器には大きな線量が投与されるため、直腸ならびに膀胱の安全性を担保しながら治療強度の増加を目指さなくてはならない。代表的なリスク臓器である直腸線量指標として、Equivalent Uniform Doseを算出し、治療強度の増加の可能性を検討し、ファントムを用いて検証する。
震災の影響で予定していた学会が中止となったため、繰越金が生じた。研究に必要な器具は取得しており、今後はこれらにかかわる消耗品の発注が必要となる。研究成果は放射線治療関係の国内外の学会で発表を予定しており、そのための費用が必要となる。繰越金については、消耗品ならびに論文校正料に充当する予定である。
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Brachytherapy
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