研究課題/領域番号 |
23791444
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
細川 崇洋 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20383854)
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キーワード | 周産期出血 |
研究概要 |
最終年度の本実験を行う前の予備実験として、今年度はホルモン療法にて偽妊娠状態とした豚2匹を用いて、子宮動脈を塞栓物質NBCAを用いて塞栓術を行った。 今回、病理標本の制作と、子宮組織切片の染色方法の決定を行った。臨床現場では妊娠子宮が対象となるため、対象となる豚もホルモン療法で偽妊娠状態とし、前年度同様、NBCAを8倍に薄めて塞栓術を行った。 最終年度は、豚子宮動脈を塞栓したのち、術部を閉鎖し、3週間程度飼育、その後、子宮動脈の開存性の有無の確認、塞栓物質の到達部位の検討、子宮内膜の障害の程度を評価する予定である。そのため、塞栓物質の到達部位の評価方法、組織障害の程度を決定するのに適した方法について検討を行った。塞栓物質の到達部位の評価では、前年度の病理標本の評価のほか、より分解能の高いレントゲン撮影である、軟エックス線を用いた撮影を塞栓後の摘出子宮に対して行った。この画像では、通常のレントゲン撮影より細い血管まで塞栓物質が到達したことが観察できた。これにより、病理標本で確認する以外にも、末梢部位の塞栓物質が可視的に評価できることが分かった。また、病理標本の染色方法は、H.E染色を用いることで、障害部の評価が可能であり、かつ、組織障害の程度が内膜のどの部分まで及んでいるかを評価することも可能であった。 また、来年度の子宮動脈塞術を行った後の飼育については、慶應義塾大学実験動物センターにて、動物実験を行う予定である。そのための倫理委員会に認可申請の書類を提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はホルモン療法にて偽妊娠状態とした豚2匹を用いて、子宮動脈を塞栓物質NBCAを用いて塞栓術を行った。 最終年度は、豚子宮動脈を塞栓したのち、術部を閉鎖し、3週間程度飼育、その後、子宮動脈の開存性の有無の確認、塞栓物質の到達部位の検討、子宮内膜の障害の程度を評価する予定である。そのため、塞栓方法、塞栓物質の到達部位の評価方法、組織障害の程度を決定するのに適した方法について検討を行った。 塞栓方法については、前年度同様、NBCAを8倍に薄めて用いた。塞栓物質の到達部位の評価では、摘出した病理標本の評価のほか、より分解能の高いレントゲン撮影である、軟エックス線を用いた撮影を塞栓後の摘出した子宮に対して行った。この撮像ではより、分解能が高くなり、通常のレントゲン撮影より、より末梢の細い血管に分布する塞栓物質が観察可能であった。これにより、病理標本で確認する以外にも、末梢部位の塞栓物質が可視的に観察できることが分かった。また、病理標本の染色方法は、H.E染色を用いることで、障害部の評価が可能であり、かつ、組織障害の程度が内膜のどの部分まで及んでいるかを決定するのも、この染色方法が適していた。 また、来年度の子宮動脈塞術を行った後の飼育については、慶應義塾大学実験動物センターにて、動物実験を行う予定である。そのための倫理委員会に認可申請の書類を提出した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はホルモン療法にて偽妊娠状態とした豚3匹を用いて、実験を行う予定である。まず、ホルモン投与を行い、豚を偽妊娠状態とし、通常の妊娠子宮に対する処置と近い状態にする。その豚の子宮動脈を塞栓物質NBCAを用いて塞栓術を行う。塞栓物質は、通常の臨床にそくしNBCAを8倍に薄めて用いる。子宮動脈塞栓術後に、術部を閉鎖し、3週間程度飼育する。こののち、再度血管造影し、血管の再開通の有無を検討する。その後に子宮を摘出し、塞栓物質の分布範囲と、子宮内膜の組織障害の程度の評価を行う予定である。塞栓物質の到達範囲の検討では、摘出子宮に対して軟エックス線撮影を行い、到達範囲を検討し、また、病理標本を用いた結果を対応させて評価する予定である。子宮内膜の障害の程度では、摘出子宮に対して軟X線撮影後に、主にH.E染色を用いて、評価する。摘出子宮を、1cmおきに切片を作り、10μmの厚さで標本を作製する。染色方法は、内膜の組織障害の評価にはH.E染色を用いて、障害の深さがどこまで至っているかを主に確認する予定である。また、塞栓物質の到達範囲の評価では血管壁の評価が可能となるEGF染色を用いて血管部位の同定を行って、H.E染色を用いて内部の評価を行う予定である。 また、当該実験については、慶應大学動物実験センターにて、倫理員会の認可をもらった後行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は豚3匹を用いて、実験を行う予定である。ホルモン療法を用いて偽妊娠状態とした豚の子宮動脈を塞栓物質NBCAを8倍に薄めて塞栓術を行う。塞栓術の際にはμカテーテルを用いて処置を行う予定である。塞栓術後に、術部を閉鎖し、3週間程度飼育ののちに、再度血管造影し、血管の再開通の有無を検討する。その後に子宮を摘出し、まず軟エックス線撮影により塞栓物質の分布範囲を確認する。その後、摘出子宮を1cm間隔で切片をつくり、10μmの厚さで病理標本を制作する。EGF染色を用いて、血管壁を同定し、内腔をH.E染色で観察し、塞栓物質の分布の範囲を検討する。軟エックス線を用いた画像と、病理標本を用いた結果を対応させて、分布範囲を評価する予定であるまた、子宮内膜の組織障害の程度の評価をH.E染色を用いて行う予定である。これにより、障害部位の深達度や、慢性期の障害の程度を評価する。 また、当該実験については、慶應大学動物実験センターにて、倫理員会の認可をもらった後行う予定である。 本年度の未使用学額発生は、実験に使用した豚の頭数を抑えたため発生した。本年度の未使用額は、次年度の消耗品購入などにあてる予定である。
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