平成23年度および24年度に得られた結果を基にして、豚を用いて甲状腺、副腎に対して凍結治療の温度計測の実験を行い、至適なプロトコール検討した。 甲状腺ではEndocare社製の直線タイプ2.3mm針を使用して、凍結治療を行った。直径40mmのプレートに、プローブを中心とした40本の熱電対を固定して、5秒毎に温度検測を行った。凍結治療中の凍結される範囲をほぼリアルタイムで計測を行った。その結果、甲状腺では凍結される範囲が、肝臓や腎臓などの実質臓器と比較して小さいということが判明した。また、複数の豚で実験を繰り返したところ、実験結果に大きなばらつきが生じた。凍結範囲が小さい理由として、周囲に走行している頸動静脈などが熱を供給してしまう、いわゆるheat sink効果による影響が強く疑われた。また、豚の頸動静脈には個体差があり、動静脈の太さの違いによってheat sink効果の大小があり、このため実験結果に大きなばらつきがでることとなったと推測された。さらに、甲状腺周囲に存在する頚動静脈や皮膚に対する影響を調べるために、病理標本を採取したが、現在検討中である。 副腎では引き続き、Endocare社製の直線タイプ2.3mm針を使用して、凍結治療を行った。直径40mmのプレートに、プローブを中心とした40本の熱電対を固定して、5秒毎に温度検測を行った。こちらの凍結範囲も肝臓や腎臓などの実質臓器と比較して小さいということが判明した。やはり腹部大動脈、下大静脈などの太い脈管が熱を供給してしまういわゆるheat sink効果による影響が強く疑われた。病理標本を採取し、現在検討中である。
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