研究課題
本年度は最適化計算を視野に入れた治療計画システムの4次元化に向けた研究を行った。近年、待ち伏せ照射、動体追尾照射が広まるにつれて4次元的な治療計画の必要性が高まってきている。治療計画の4次元化において、治療時の腫瘍の動きを知ることは重要である。金マーカを用いた動体追尾照射を想定して、治療装置に搭載されたコーン・ビーム・コンピュータ・トモグラフィ装置を用いて取得した射影画像の4次元再構成を行い、動いている金マーカの位置同定を行った。これにより複数ある金マーカの位置が4次元再構成した画像上で同定可能であることを示すことができた。動体追尾照射の方法の一つとして小型のリニアックをジンバルに搭載し、治療中にジンバルを動かすことによって治療用のビームを標的に対して向ける方法がある。この方法ではビームの方向と患者の位置関係が通常のリニアックと異なる場合が起こりうる。そのため、治療計画装置をジンバルを用いた動体追尾照射に対し4次元化する際には吸収線量計算法をジンバルの動きを考慮して拡張する必要がある。4次元治療計画システムの開発はノースカロライナ大学で開発された治療計画装置PlanUNC(PLUNC)をベースに行っている。ジンバルの動きの自由度を取り扱うために、ジンバルの向きに応じた座標変換を導入し、どのようなジンバルの向きに対しても線量計算が可能になる方法を定式化した。この方法を用いて実際に吸収線量計算を行うとによってジンバルの動きがある場合の線量計算が可能であることを確かめた。現在のところ計算時間に問題があるが、今後計算速度をあげることによって治療計画の最適化計算に適用可能な4次元線量計算法を開発できると考えている。
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