研究課題
対象動物の脳組織および肝臓組織をサンプリングし、組織内に含まれるマンガン濃度を質量分析を用いて測定した。投与群にはマンガン水溶液を尾静脈より投与し、対照群には生理食塩水を投与した後、24時間後に麻酔下にて脱血および生食灌流を行い、その後組織抽出を実施した。肝臓組織においては、高い濃度のマンガン蓄積が観察された。脳組織においてもマンガン投与群は対照群に対して有意な蓄積が観察されたが、領域毎の比較では、特に海馬・大脳皮質・尾状核において、マンガンの蓄積量に大きな差が見られなかった。MRIで得られる画像では、海馬領域に高い信号強度の増加が観察され、緩和時間の短縮が観察される。また、組織染色では海馬を中心としてcalbindineに反応する領域が存在しており、MRIで見られるマンガンによる信号変化領域と一致した。これまでに、アルブミンとの結合によりマンガンの緩和能が増加することを示しており、生体組織においてもタンパクの存在が緩和機構に影響することが考えられる。組織染色および質量分析で得られた今回の結果は、組織特異的にマンガンの緩和能が増強されていることを示唆した。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (12件)
磁気共鳴学会雑誌
巻: 32(1) ページ: 17-20