研究課題/領域番号 |
23791464
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
渡辺 茂樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (10450305)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Br-77 / オージェ電子 / RI内用療法 / 褐色細胞腫 |
研究概要 |
悪性褐色細胞腫の治療にはβ線を放出するI-131標識メタヨードベンジルグアニジン(131I-MIBG)による内用放射線療法が行われているが、治療効果は限定的であることから、根治可能な治療法が切望されている。そこで、本研究ではβ線に比べ高い細胞障害作用を有するオージェ電子に着目し、オージェ電子を放出するBr-77標識メタブロモベンジルグアニジン(77Br-MBBG)の悪性褐色細胞腫に対する治療効果を明らかにすることを目的とする。そのうち、平成23年度は大量製造が可能なMBBGの新規合成法の開発と77Br-MBBGの細胞取込について検討を行った。新規合成法の開発では3-(Hydroxymethyl)phenylboronic acidを出発原料として標識前駆体を合成する経路について検討を行った。第一段階として3-(Hydroxymethyl)phenyltrifluoroborateを合成し、ほぼ定量的に中間体を得ることができた。また、得られた中間体をグアニジンに変換する経路が最も効率良いことが明らかとなった。77Br-MBBGの細胞取込については、従来法で合成した化合物を用いて、褐色細胞腫細胞PC-12への取込について検討した。その結果、77Br-MBBG添加3時間後において、添加した量の30%が褐色細胞腫細胞内へと取込まれることが明らかとなった。また、MBBGの取込率はMIBGに比べて若干低いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は大量製造可能なMBBG新規合成法の開発と腫瘍細胞を用いた障害作用の検討を行う予定であったが、後者の検討事項について現在、細胞内局在と障害作用を評価するための実験条件設定を行っており、細胞障害作用を明らかにするまでには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である本年度は、実施計画に基づきボロン酸誘導体を用いた77Br-MBBG新規合成法について引き続き検討を行う。それと並行して従来法により合成した77Br-MBBGを用いて腫瘍細胞における細胞内局在および障害作用に関する実験を進める。最終的には77Br-MBBGの大量製造を行い、動物を用いた治療実験を実施する予定であるが、新規合成法が確立できない場合には、従来法による合成を行い細胞レベルでの障害作用について検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
Br-77の大量製造に必要な高濃縮安定同位体Se-77および合成実験、細胞実験、動物実験で使用する器具、試薬、実験動物の購入に費用を充てる予定である。また、これまでの研究成果を発表するために国内外の学術会議への参加費にも研究費を充てる予定である。
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