内用放射線療法において従来より用いられているβ線に比べ高い細胞障害作用を持つオージェ電子に着目し、オージェ電子放出核種であるBr-77を標識したメタブロモベンジルグアニジン(77Br-MBBG)の悪性褐色細胞腫に対する治療効果を明らかにすることを目的として研究を行った。 本研究を進めるにあたり大量の77Br-MBBGを必要となるが、従来の標識方法であるヨウ素―臭素ハロゲン交換反応では標識率が低いことから、高収率でBr-77を導入できる合成法を開発する必要があった。そこで、ホウ素―ハロゲン交換反応によるBr-77の導入に着目し、Br-77標識位置にボロン酸誘導体を導入した標識前駆体を合成した。その結果、ボロン酸を含む標識前駆体を合成した。Br-77の標識について検討を行ったが、Br-77を導入することができなかった。 ボロン酸誘導体を含む標識前駆体合成と並行して、ヨウ素―臭素ハロゲン交換反応を用いて77Br-MBBGを合成し、褐色細胞腫細胞PC-12への取り込みについて検討を行った。その結果、投与3時間で30%dose/gの77Br-MBBGが褐色細胞腫細胞に取り込まれることが明らかとなった。しかし、細胞内局在の詳細について明らかにすることはできなかった。本研究については、今後も引き続き検討を進める予定である。
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