研究課題/領域番号 |
23791466
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
河村 和紀 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (50401766)
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キーワード | 放射性薬剤 / PET / 分子イメージング / グレリン受容体 / イミダゾリン受容体 / 摂食 |
研究概要 |
本年度は、前年度開発したポジトロン放出断層撮影法(PET)用グレリン受容体(growth hormone secretagogue receptor; GHS-R)選択的プローブよりも有用なPET用GHS-R選択的プローブの探索を行い、また、新規PET用GHS-R選択的プローブもしくはPET用イミダゾリンI2受容体(I2-R)選択的プローブによる摂食障害の診断の可能性の評価を目的として研究を行った。 まず、はじめにPET用核種の標識が可能なGHS-R選択的リガンドを再探索し、PET用核種である11C標識が可能であり、GHS-R選択的で結合親和性が高い(4 nM)6-(4-Chlorophenyl)-3-{[1-(2-methoxyethyl)piperidin-3-yl]-methyl}-2-(2-methylphenyl)quinazolin-4(3H)-one(GRL2)を選び出し、その標識前駆体及びその化合物を合成することができたため、 [11C]GRL2の合成を検討した。 [11C]GRL2は、動物実験で使用する注射液として必要な収量及び品質で合成することができた。 ラット脳PET測定では、[11C]GRL2の脳への取り込みは[18F]FEGRL1よりも低かったが、GHS-Rが多く存在する視床下部で周囲に比べてやや高い集積を認めた。 また、同様に[18F]FEGRL1でもGHS-Rが多く存在する視床下部で周囲に比べてやや高い集積を認めた。 そのため、[11C]GRL2及び[18F]FEGRL1を用いたPET測定が摂食障害を診断できる可能性があると考えられるため、次年度は、開発したPET用GHS-R及びI2-R選択的プローブを用いて肥満ラットによる摂食異常についてのイメージングの可能性を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規なPET用グレリン受容体選択的PET用プローブを開発することができ、次年度の国際放射性薬品科学シンポジウムで発表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、開発したPET用グレリン受容体選択的プローブ及びイミダゾリンI2受容体選択的プローブを用いて肥満ラットによる摂食異常についてのイメージングの可能性を評価し、摂食障害とグレリン受容体濃度及びイミダゾリンI2受容体濃度との関係の解明を目指す。また、当施設で以前開発したPET用イミダゾリンI2受容体選択的プローブ[11C]FTIMDより優れたイミダゾリンI2受容体特異的結合を示した[11C]BU99008が英国のKings College of Londonで開発されたため、その標識前駆体を合成し、当施設で[11C]BU99008の合成を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
摂食との関連を明らかにするため数匹の肥満ラットを購入する費用が含まれる。 開発した新規PET用プローブ及びプローブ評価について関連国際学会で発表するための旅費等も含まれる。
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