研究課題
本年度は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)用イミダゾリンI2受容体(I2-R)選択的プローブ[18F]FEBUを新規I2-Rイメージング用PETプローブとして開発した。[18F]FEBUは実験に適した放射能量、比放射能で合成でき、合成終了後1時間経過しても放射化学的純度が95%以上であり、高い安定性を示した。よって、[18F]FEBUを用いてインビボ実験を行った。マウス体内分布実験では、脳への高い取り込みが見られ、選択的I2-R阻害剤BU224(1 mg/kg)を同時投与により、投与後30分後ではI2Rが高く存在する脳で約44%、心臓で約72%、肝臓で約32%の阻害が見られた。ラット脳PET測定では、BU224前処理(1 mg/kg)により投与後60~90分間の放射能集積が77%も阻害され、高いI2-R特異的結合が示された。ゆえに、[18F]FEBUはI2-Rをイメージングできる優れたPET用プローブであると考えられ、摂食障害の早期診断と治療薬開発の一助になると考えられる。グレリン受容体選択的プローブについては、開発した[18F]FEGRL1及び[11C]GRL2を用いてグレリン受容体拮抗剤([D-Lys-3]-GHRP)との関連を評価した。マウス脳内では集積がやや低いため、阻害の効果が見られず摂食機能を評価することが困難であると考えられ、さらに、脳移行性が高いPETプローブを続く課題等で探索していく。また、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)が摂食や肥満と関連することが報告され、新規選択的mGluR5型選択的PET用プローブ(+)-[11C]ABP688の開発を行った。すでに開発されていた(+/-)-[11C]ABP688に比べて、ラット脳でより高いmGluR5型への結合能を示し、(+)-[11C]ABP688は摂食に関連したイメージング剤としての可能性を示した。
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Nuclear Medicine and Biology
巻: 41 ページ: 17-23
10.1016/j.nucmedbio.2013.09.008