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2013 年度 実績報告書

ヒト癌細胞における放射線誘導性浸潤能の抑制に有効な阻害剤の探索及び関与因子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 23791467
研究機関独立行政法人放射線医学総合研究所

研究代表者

藤田 真由美  独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (80580331)

キーワード粒子線治療
研究概要

癌の治療効果を向上させるためには、転移を抑制することが極めて重要な課題である。初年度は、31種の癌細胞株を用い、X線又は炭素線照射後に浸潤能が変化する細胞株を調べた。炭素線照射はX線照射に比べ、大多数の癌細胞株の浸潤能の抑制に効果的である事が示された。しかし、まれにPANC-1やSF126のように浸潤能が2倍以上上昇する細胞株が存在することが明らかとなった。H24年度は、PANC-1の炭素線誘導浸潤能の抑制に有効な阻害剤を285種類の分子標的阻害剤から探索し、一酸化窒素合成酵素 (NOS) 阻害剤及びPI3K阻害剤が有効である事を見いだした。そこでH25年度は、細胞浸潤におけるNOの役割を調べた。PANC-1をNO産生細胞検出試薬で染色したところ、全細胞中のNO産生細胞の割合はわずか4%であったのに対し、浸潤した細胞では約9割がNO産生細胞であることが明らかとなった。このことから、NOを産生する細胞群はPANC-1の浸潤において重要な役割を担っている事が示唆された。また、全細胞中のNO産生細胞の数は、炭素線照射により約4倍に増加する事、これに対し、炭素線照射後に浸潤する細胞数も約3.5倍に増加し、その浸潤細胞の約9割はNO産生細胞であった事から、炭素線照射後のNO産生細胞数の増加が照射後の浸潤細胞数の増加と関連している事が示唆された。さらに、炭素線照射後に浸潤能が上昇するPANC-1 とSF126では、照射後に培地中のNO2-量が上昇すること、一方で、浸潤能が減少するMIAPaCa-2ではNO2-量は減少する事も確認された。本研究により、炭素線照射後の浸潤能の抑制にはNO阻害剤が有効であること、また、NOは複数の細胞株の照射後浸潤能変化に重要である可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Dose nitric oxide trigger radiation-enhanced invasiveness of PANC-1?2013

    • 著者名/発表者名
      Mayumi Fujita, Shigeru Yamada, Takashi Imai
    • 学会等名
      The 72nd Annual Meeting of the Japanese Cancer Association (JCA)
    • 発表場所
      神奈川県、横浜市
    • 年月日
      20131003-20131005
  • [学会発表] 炭素線照射後のヒト膵癌由来細胞株PANC-1はNOS-NO-P13K-AKTパスウェイを介し浸潤能を変化させる2013

    • 著者名/発表者名
      藤田真由美、今留香織、荘司好美、今井高志
    • 学会等名
      第22回日本がん転移学会学術集会・総会
    • 発表場所
      長野県、松本市
    • 年月日
      20130711-20130712
  • [学会発表] 放射線照射が癌細胞株の浸潤能に及ぼす影響は線質と細胞株により異なる2013

    • 著者名/発表者名
      今留香織、藤田真由美、荘司好美、今井高志
    • 学会等名
      第22回日本がん転移学会学術集会・総会
    • 発表場所
      長野県、松本市
    • 年月日
      20130711-20130712
  • [学会発表] Search of inhibitors effective in suppressing the altered invasiveness of irradiated cancer cell line2013

    • 著者名/発表者名
      Mayumi Fujita, Kaori Imadome, Yoshimi Shoji, Takashi Imai
    • 学会等名
      HITSRS2013
    • 発表場所
      千葉県、千葉市
    • 年月日
      20130515-20130518

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公開日: 2015-05-28  

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