研究課題
【最終年度に実施した研究の成果】 最終年度であるH26年度はCHO細胞とそのDNA損傷修復欠損細胞であるxrs6細胞と51D1細胞を用いてLET-RBE(生物学的効果比)関係とLET-OER(酸素増感比)関係を求めた。 CHO細胞と51D1細胞では照射時の酸素の有無にかかわらず、LET値が200 keV/micro meter付近で最大のRBE値(3~5)を示した。 しかし、NHEJ関連遺伝子変異株であるxrs6細胞では、はっきりとしたRBE値のピークは観察されなかった(照射時の酸素の有無にかかわらず)。 つまり、DNA二本鎖切断に対するNHEJ修復が行われない場合は、RBE値のピークが観察されず、高LET放射線に対しても細胞致死の感受性は向上しないことがわかった。 一方、OERのLET依存性は低LET領域においては、HR関連遺伝子変異株である51D1細胞が他の細胞株に比べて、小さいOER値を示したが、LET値が400 keV/micro meterを超えるような高LET領域においては全ての細胞株は約1のOER値を示した。 細胞致死に対する間接作用の寄与を調べると、CHO細胞と51D1細胞は放射線感受性が大きく異なるものの、間接作用の寄与率は全てのLET領域でほぼ同程度であった。 しかし、xrs6細胞はどのLET領域においても、これらの細胞よりも低い間接作用の寄与率を示した。【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】本研究は3年間で下記のことを明らかにした。1)NHEJ関連遺伝子変異株では低LET放射線であっても、細胞致死に対する間接作用の寄与は小さい。 2)放射線感受性の程度と細胞致死に対する放射線作用の寄与率は関係性が無い。 3)酸素が存在しない場合は、細胞致死に対する間接作用の寄与率が低下する(直接作用の寄与が増加する)。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Journal of Radiation Research
巻: 55 ページ: i133-i134
10.1093/jrr/rrt192
Radiation Research
巻: 180 ページ: 514-523
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