研究課題
平成23年度は、研究計画の「PET検査における分割収集法によるがん病変の至適撮像条件の確立」を中心に研究を実施した。分割収集法では、短時間による画像データの収集を繰り返し行い、分割収集画像を作成する。近年では、短時間収集法の撮像技術が有用であると報告されているが、その基礎的検討は十分ではない。このため、本研究では、上述の画像再構成アルゴリズムをも考慮し、画質評価ファントムによる基礎実験および臨床検討からFDG PET検査における至適撮像条件を検討した。その結果、分割収集時の短時間撮像では、得られる画質は、画像再構成アルゴリズムに依存することが解明し、画像再構成法としてFORE+OSEM法が有効であることが示された。本研究内容は、国際学会において2件および国内学会において2件の発表を行った。また、現在、原著論文の投稿準備中である。 また、当初計画の「核医学検査における分割収集法による信号変化の理論的な解明」について研究を遂行した。さらに、平成24年度に計画していた「がん病変の描出能に対する分割収集法の臨床的有用性の確立」について、それらのデータ収集が予定よりも早い段階で着手できたため、平成23年度中にそれらのデータ解析も実施した。FDG PET検査における静止体を対象とした分割収集法では、従来法と比較して得られる画像の画質改善効果があり、臨床的な有用性も期待できるが、これまでの検討では、実際の病変部位を評価していなかった。このため、本研究では、臨床的有用性を確立するため、実際の臨床症例のがん病変の診断に対して分割収集法を適応し、病変の描出能が分割収集法により改善するか否かを検証した。現在は、データ解析作業を進めるとともに、原著論文の作成準備を行っている。
2: おおむね順調に進展している
前倒し請求により、当初計画をしていなかった、データ解析に必要なPET/CT装置に付属の専用の核医学解析ワークステーションを平成23年度中に現所属研究機関に導入することができた。このため、データ解析に十分な時間を割くことが可能となり、円滑に研究計画を遂行することができたため。
平成24年度は、当初の研究計画の通り「がん病変の描出能に対する分割収集法の臨床的有用性の確立」について研究を遂行し、原著論文を投稿する。また、同じく当初の研究計画の通り「単光子放出核種を対象とした核医学検査における分割収集法の確立」の研究を遂行する。
研究費の使用計画は、主として研究成果発表のための国内外旅費および研究成果発表料などに利用する予定である。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件)
Ann Nucl Med
巻: 26(1) ページ: 67-76
10.1007/s12149-011-0542-7
第49回千葉核医学研究会
巻: 26 ページ: e-publication
Proc 6th Japan-Korea joint meeting on medical physics
巻: e-publication ページ: e-publication