研究課題
がんの画像診断において,生体機能の評価が可能な核医学検査の有用性が増しているが,良質の核医学画像データを収集するには,分単位の収集時間が必要であり,体動の影響を排除する工夫が求められる.この問題に対処するため,我々は,FDG-PET画像の分割収集に関する検討を進めてきたが,その過程で,分割収集により得た画像が,連続収集で得た画像と同等以上の画質を呈することを見いだした.本研究では,核医学検査における分割収集による信号の変化の理由を,従来法の連続収集における信号と比較することにより,理論的に解明し,がん病変の診断に至適な画質の画像を得ることが可能な分割収集の撮像条件を確立することを目的とした.1. PET検査における分割収集法によるがん病変の至適撮像条件の確立:分割収集法では,短時間による画像データの収集を繰り返す最近では,息止めPET検査についての報告において,短時間収集法の撮像技術が有用であるとされているが,その基礎的検討は十分ではない.このため,本研究では,上述の画像再構成アルゴリズムをも考慮し,画質評価ファントムによる基礎実験および臨床検討からFDG-PET検査における至適撮像条件を確立した.2. がん病変の描出能に対する分割収集法の臨床的有用性の確立:FDG-PET検査における静止体を対象とした分割収集法では,従来法と比較して得られる画像の画質改善効果があり,臨床的な有用性も期待できる.このため,本研究では,臨床的有用性を確立するため,実際の直腸癌症例の診断に対して分割収集法を適応し,病変の描出能が分割収集法により改善するか否かを検証した.その結果,直腸癌を対象としたFDG-PET検査では,従来の連続収集法と比較して分割収集法の方が病変の描出能および画質が有意に優れていることが示唆された.
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医学物理
巻: 32(Sup.3) ページ: 267-268
J Nucl Med
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10.2967/jnumed.111.099630