研究課題/領域番号 |
23791478
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研究機関 | 滋賀県立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
加川 信也 滋賀県立成人病センター(研究所), 画像研究部門, 主任研究員 (10393191)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アミノ酸 / アミノ酸輸送システムL / [11C]MET / アミノ酸輸送システムA / [11C]MeAIB / PET / [18F]NMeFAMP |
研究概要 |
これまでに我々は、L-[methyl-11C]methionine([11C]MET)によるアミノ酸輸送システムLとは異なる、α-[N-methyl-11C]-methylaminoisobutyric acid([11C]MeAIB)によるシステムAを標的にした薬剤の開発を行ってきた。本研究では、11C(20分)より半減期の長いMeAIBの18F(110分)標識アナログ(R)-3-[18F]Fluoro-2-methyl-2-N-(methylamino)propanoic acid([18F]NMeFAMP)を新規薬剤として合成し、アミノ酸輸送システムAの分布や活性を定量化しうる生体イメージング診断法の開発を行う。そのために、平成23年度は、研究の中心となる前駆体及び[18F]NMeFAMPのcold体である3-Fluoro-2-methyl-2-N-(methylamino)propanoic acid(NMeFAMP)の大量合成に向けた研究をおこなった。2-Amino-2-methyl-3-hydroxy-propanoic acid(α-MeSer)を出発原料として、6段階の反応を経て前駆体である3,4-Dimethyl-1,2,3-oxathiazolidine-4-carboxylic acid tert-butyl ester 2,2-dioxideを、5段階の反応を経てNMeFAMPをそれぞれ総収率約1%で得た。現在、[18F]NMeFAMPの臨床応用を目指し、簡便で効率の良い合成法の確立を目指している。本検討では、前駆体合成条件の確立・最適化において有機合成に十分実績を有する大桃善朗准教授(大阪薬科大学大学院)との研究協力体制の下で実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2-Amino-2-methyl-3-hydroxy-propanoic acid(α-MeSer)を出発原料として、6段階の反応を経て前駆体である3,4-Dimethyl-1,2,3-oxathiazolidine-4-carboxylic acid tert-butyl ester 2,2-dioxideを、5段階の反応を経て3-Fluoro-2-methyl-2-N-(methylamino)propanoic acid([18F]NMeFAMPのcold体)を合成している。しかしながら、合成反応が多段階・複雑であり合成総収率は約1%であるため、臨床応用を目指した大量合成には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
前駆体合成条件の確立・最適化において有機合成に十分実績を有する大桃善朗准教授(大阪薬科大学大学院)との研究協力体制の下で実施して臨床応用のための大量合成をおこなう。 さらに、放射性18F標識体の合成のため、[18F]フッ素イオンをQMAカラムに吸着させ、炭酸カリウム/K.222溶液で脱離し、[18F]KF として反応器に導入する。前駆体を加えフッ素化し、HClで加水分解を行い[18F]NMeFAMPを合成する。将来の臨床応用を目指す上では、高標識率で高比放射能の放射性薬剤合成法開発が必要で、そのためには種々の反応条件や分離溶媒選択さらには至適分離・精製方法に関する詳細な検討を繰り返し行い、簡便で安全かつ効率の良い放射性標識合成法の確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規薬剤の開発においては、放射性薬剤合成のための試薬・合成装置とそれに付随・関連する配管等部品やガラス器具類の新規購入が絶対条件である。放射性薬剤の標識・分離・精製に必須なHPLCカラム等は高価である。新規合成された薬剤はまず、腫瘍細胞を用いたin vitro実験を行うが、細胞培養のための器具、培地、インキュベータ等が必要で、薬剤評価検討における比較対照とする[3H]METや[14C]MeAIB等のトレーサや阻害剤等の薬品購入のための費用がいる。また細胞のマイクロアレイ法による遺伝子の網羅的解析には相当の費用がかかる。さらに画像診断解析法確立には、膨大な画像データの処理・解析のための特殊なソフトウェアを搭載したコンピュータ機器の設置が必須であり重要である。
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