研究課題/領域番号 |
23791482
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松下 まりも (佐藤 まりも) 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50401253)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | IL-23 / IL-17 / Th17 / 抗腫瘍効果 / 慢性炎症 |
研究概要 |
IL-23の全身投与により、Th1細胞ならびにTh17細胞が有意に増強されることを明らかにし、このうちTh1細胞については、内因性IL-12を介して抗腫瘍効果に深く関わっていることを示してきた。しかしながら、Th17細胞の抗腫瘍効果への関与については未だ不明である。Th17細胞は、慢性炎症において、マクロファージや樹状細胞が抗原刺激により産生するIL-23を介し、IL-17産生を促進させる。IL-17は、T細胞応答を亢進させ、さらにIL-1、IL-6、IL-8およびTNFなどの炎症性メディエーターを誘導することにより炎症応答を引き起こすことが知られている。そこで、wild typeおよびIL-17遺伝子欠損マウスを用いてin vitroならびにin vivoにて、IL-23投与により誘導されるTh17細胞の抗腫瘍免疫における機序およびIL-23のTh1細胞の抗腫瘍効果にTh17細胞が及ぼす影響について検討した。手法としては、マウス皮下腫瘍モデルに、IL-23をIVE法による遺伝子導入により全身発現させたのち、腫瘍浸潤リンパ球、所属リンパ節ならびに脾臓における抗腫瘍免疫応答に関して各種免疫学的解析を行った。同時に、大腸における腸管慢性炎症に関して、免疫染色法で解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の23年度の研究目的である、IL-23投与により誘導されるTh17細胞の抗腫瘍免疫応答機序およびIL-23の抗腫瘍効果にTh17細胞が引き起こす慢性炎症が及ぼす影響の解明に関する検討がほぼ終了している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の24年度の研究目的である、IL-23による腫瘍抗原を用いたDNAワクチンの増強効果に関する研究に着手し、有効ながん免疫療法の開発を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
腫瘍抗原を蛋白として発現できるDNAワクチンの評価が可能な腫瘍系を構築する。まず、マウスのメラノーマ抗原として同定されたTRP2の塩基配列を基にしたPCR用プライマーを設計し、B16マウスメラノーマ細胞株より採取したmRNAをテンプレートとしてTRP2の全長cDNAを得る。これを発現プラスミドに組み込みワクチン用プラスミドとする。そして、この発現プラスミドをマウス筋肉内に投与し、有効なTRP-2特異的免疫反応および抗腫瘍効果を惹起できるか否かを検討する。その後、IL-23をIVE法による遺伝子導入により全身発現させ、DNAワクチンの増強効果について検討する。IL-23発現プラスミドのIVE併用投与量は、予備検討を行い、単独投与で移植腫瘍の完全消失が認められない量とする。TRP-2特異的な抗腫瘍免疫応答に関しては、腫瘍浸潤リンパ球、所属リンパ節ならびに脾臓を用いて各種免疫学的解析を行う予定である。
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