IL-23の全身投与により、Th1細胞ならびにTh17細胞が有意に増強されることを明らかにした。このうちTh1細胞については、内因性IL-12を介して抗腫瘍効果に深く関わっていることを示してきた。しかしながら、Th17細胞の抗腫瘍効果への関与については未だ不明である。Th17細胞は、慢性炎症において、マクロファージや樹状細胞が抗原刺激により産生するIL-23を介しIL-17産生を促進させる。IL-17はT細胞応答を亢進させ、さらにIL-1、IL-6、IL-8およびTNFなどの炎症性メディエーターを誘導することにより炎症応答を引き起こすことが知られている。 そこで、本研究課題において、野生型およびIL-17遺伝子欠損マウスを用いてin vitroならびにin vivoにて、IL-23により誘導されるTh17細胞の抗腫瘍免疫における機序、およびIL-23のTh1細胞の抗腫瘍効果にTh17細胞が及ぼす影響について検討した。手法としては、マウス皮下腫瘍モデル(腫瘍:MCA205、MC38、B16F10)に、IL-23-cDNAをIVE法による遺伝子導入によりIL-23を全身発現させ、3週間後に腫瘍浸潤リンパ球、所属リンパ節、ならびに脾臓における抗腫瘍免疫応答に関して各種免疫学的解析を行った。同時に、慢性炎症疾患の発症に関して、免疫学的解析をおこなった。
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