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2011 年度 実施状況報告書

CD47-SIRPαシグナル誘導による抗NeuGc抗体性異種膵ラ氏島拒絶の克服

研究課題

研究課題/領域番号 23791484
研究機関広島大学

研究代表者

井手 健太郎  広島大学, 病院, 助教 (50511565)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード異種移植 / B細胞 / SIRPα
研究概要

我々は膵ラ氏島がブタ-ヒト間における自然抗体である抗NeuGc抗体依存性に廃絶されることを解明した。また我々は異種間ではCD47-SIRPαシグナル不応性によりマクロファージ性拒絶機構が働き、レシピエント種CD47をドナー細胞上へ表出させることにより、マクロファージ性拒絶が抑制できることを報告した。本研究ではCD47-SIRPαシグナル誘導により抗NeuGc抗体性依存性拒絶が克服できるか否かを検証することを目的としている。まずNeuGcノックアウトマウスのB細胞におけるSIRPαの発現を確認した。その結果、脾臓や骨髄、末梢血中のB細胞にはSIRPαはほとんど発現しておらず、腹腔細胞中のB細胞にのみSIRPαが強発現していた。また腹腔内B細胞のphenotypeを解析したところ、約80%がB-1細胞で、さらにB-1a、B-1b細胞は共にSIRPαを高発現しているが、B-2細胞にはSIRPαが発現していないことを確認した。次にブタ細胞にマウスCD47を遺伝子導入した後にGalノックアウトマウスの腹腔内に免疫し、抗Gal抗体価の推移を解析した。その結果、マウスCD47を遺伝子導入したブタ細胞で免疫した群では、無処置のブタ細胞で免疫した群と比べ抗体価は低下し、またCD47-SIRPαシグナルを抗SIRPα抗体で遮断すると、マウスCD47を遺伝子導入したブタ細胞で免役した群でも抗体価が上昇することを証明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初NeuGcノックアウトマウスにマウスCD47を遺伝子導入したラット細胞を投与し、CD47遺伝子導入による抗NeuGc抗体産生抑制効果を解析する予定であったが、まずは測定が簡便な主要異種抗体である抗Gal抗体抑制効果の検証を行った。予想通り、CD47遺伝子導入による抗Gal抗体産生抑制効果が証明された。おおむね順調に進展していると判断している。

今後の研究の推進方策

引き続き、NeuGcノックアウトマウスにおけるNeuGc認識細胞の同定を行った後、抗NeuGc抗体産生抑制効果を証明する。またB細胞応答における機能解析のため、異種細胞-B細胞間におけるSIRPαのチロシンリン酸化を確認する。ラット-マウス間in vivo疾患モデルで有効性を証明した後に、CD47塩基配列相同性が更に低いブタ-ヒト化マウス間in vivo疾患モデルで抗NeuGc抗体依存性拒絶の抑制効果を検証する。

次年度の研究費の使用計画

研究費の大部分は、実験動物購入費および動物管理・飼育費、解析に必要な薬品や細胞分離・精製・培養に用いる試薬の購入費に使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Human CD47 expression permits survival of porcine cells in immunodeficient mice that express SIRPα capable of binding to human CD47.2012

    • 著者名/発表者名
      Chunfeng Wang, Hui Wang, Kentaro Ide, Yuantao Wang, Nico Van Rooijen, Hideki Ohdan, Yong-Guang Yang
    • 雑誌名

      Cell Transplantation

      巻: April ページ: in press

    • 査読あり
  • [学会発表] Genetic induction of mouse CD47 on rat insulinoma cells prevents macrophage-mediated xenograft rejection through CD47-SIRPα inhibitory signaling in mice2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshifumi Teraoka, Kentaro Ide, Hiroyuki Tahara, Nabin Basnet, Hiroshi Morimoto, Hideki Ohdan
    • 学会等名
      The 11th Joint Annual Congress of the American Society of Transplant Surgeons and The American Society of Transplantation
    • 発表場所
      Philadelphia, USA
    • 年月日
      2011年4月30日
  • [学会発表] 異種移植におけるレシピエント種CD47遺伝子導入によるマクロファージ性拒絶反応抑制効果のin vivo検証2011

    • 著者名/発表者名
      寺岡義布史、井手健太郎、森本博司、田中友加、五十嵐友香、安部智之、橋本慎二、平田文宏、堀田龍一、山下正博、田澤宏文、石山宏平、尾上隆司、大段秀樹
    • 学会等名
      第14回日本異種移植研究会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2011年12月10日
  • [学会発表] 異種移植におけるレシピエント種CD47遺伝子導入によるマクロファージ性拒絶反応抑制効果のin vivo検証2011

    • 著者名/発表者名
      寺岡義布史、井手健太郎、 Nabin Basnet、森本博司、田中友加、石山宏平、尾上隆司、五十嵐友香、田澤宏文、堀田龍一、山下正博、橋本慎二、平田文宏、安部智之、大段秀樹
    • 学会等名
      第47回日本移植学会総会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2011年10月4日
  • [学会発表] 広島大学における異種移植研究の軌跡と今後の展望2011

    • 著者名/発表者名
      井手健太郎
    • 学会等名
      第14回日本異種移植研究会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2011-12-10

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公開日: 2013-07-10  

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