研究課題
若手研究(B)
我々はこれまでに、乳癌細胞株において癌抑制遺伝子産物である Rb タンパク質の発現を RNA干渉法により抑制すると、上皮間葉転換(EMT)誘導転写因子の一つである ZEB を介して EMTが誘導されることを見出した。ZEB の発現を抑制する薬剤を探索するために阻害剤スクリーニングを行い、いくつかの ZEB 阻害剤を得ることができた。その一つはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)に対する阻害剤であり、Rb 不活化型の乳癌細胞株に CDK インヒビターを添加すると、上皮マーカーの発現が増加し、癌細胞の増殖能および浸潤能が低下した。また、Rb 陰性乳癌細胞において、細胞内在 CDK インヒビターである p16 の発現を抑制し、乳癌幹細胞表面マーカーの発現を調べたところ、CD44+/CD24-で示される乳癌幹細胞の割合が増加した。細胞周期の進行を制御する CDK4/6-Rb-p16 経路は、EMT シグナルや癌幹細胞の性質にも関与していることがわかり、癌の再発や転移における重要な経路である可能性があり、CDK4/6 インヒビターはこれらに複合的に作用する可能性が示唆された。
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J Biol Chem
巻: 287 ページ: 7896-906
Int J Cancer
巻: 130 ページ: 2568-79
http://www.genereg.jp/