研究課題/領域番号 |
23791498
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西山 亮 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70528322)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ウィルス / 遺伝子 / バイオリアクター |
研究概要 |
本研究では、国内で2010年より急速に増加している脳死ドナーからの臓器活用拡大を目指し、効果的な小腸虚血再灌流障害の治療法を開発する。また、全世界で1700例、国内では10余例実施されている小腸移植であるが、肝・腎移植に比べ臨床的課題は多い。さらなる成績向上のためにも、小腸虚血再灌流障害を効果的に抑制し、良好なグラフトを得ることは重要課題である。本研究では、各種炎症性疾患で治療標的として注目されている核内タンパクHigh mobility group box-1 (以下HMGB-1)に着目し、遺伝子治療、細胞移植、体外循環治療などの特殊技術に絡め、研究・開発を進める。平成23年度の実施計画につき評価する。I. Adex-BoxAの導入、タンパク発現等機能確認についてはすでに結果をだした。II. HMGB-1 BoxA産生肝細胞の作製と体外循環型バイオリアクターへの埋め込みについては、準備段階である。III.ラット小腸虚血再灌流障害に対するHMGB-1 BoxA遺伝子導入治療効果の検討、ラット小腸虚血再灌流傷害モデルにおけるHMGB-1 BoxA産生細胞移植の効果の検討、ラット小腸虚血再灌流障害モデルにおけるHMGB-1 BoxA産生リアクター治療効果の検討、ラット小腸虚血再灌流障害に対するHMGB-1吸着カラムを用いた体外循環治療効果の検討については、当グループではラット急性肝不全モデルで結果をだしており、そのプロトコールに沿って研究中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当グループでは急性肝不全モデルでHMGB-1 BoxA遺伝子導入治療効果につき並行して研究しており、結果をだしている。そのため、小腸虚血再灌流傷害モデルについてはほぼ準備ができているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、(A).ブタ小腸移植モデルに対するAdex-BoxA遺伝子導入の効果の検討、(B).ブタ小腸移植モデルに対するHMGB-1吸着カラムを用いた体外循環治療効果の検討を行う。具体的には、ドナーブタをKCl静注にて心停止させ,40分間温阻血した後、小腸を約50cm摘出,4時間冷保存しレシピエントに移植する。レシピエントは移植24時間前に門脈内にAdex-BoxA、コントロールウイルスを投与しておく。レシピエントの各種パラメータを比較検討する。また、同様に小腸移植し再灌流直後に体外循環システムを装着、10時間の体外循環治療を施行し、各種パラメータを比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究費としては、本研究を行うにあたって実験補助員が必要であり、その謝金を要した。物品費に関しては当研究室所有の物品を使用したため、当該年度の使用額はなく、また、旅費に関しても、当該研究費から使用しなかったため、繰越額が生じた。本年度引き続き研究を行うにあたって、本研究に必要な物品費、国内外の学会発表のための旅費、実験補助員の謝金、共同研究者との通信費などが必要であると考えられる。
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